アイルランドの保育

アイルランドの保育園にも給食、おやつはあるの?どんなメニュー?現地保育士がぜんぶ解説!!

「おててを あわせて いただきます!」

日本の保育園ではお昼の時間になると必ず聞こえてくる子どもたちの元気なあいさつ。

栄養たっぷりで、出来たてのおいしい給食は子どもたちみんなの楽しみの一つですよね。

今回の記事では

アイルランドの保育園にも給食はあるの?

どんなメニュー?

特別食の対応と種類は?

給食を食べる時間はどのくらい設けられているの?

そんな疑問に現地保育士の私がお答えします。

日本の保育園との違いも自身の経験から比較していきます。

アイルランドの保育園(クレッシュ)にも給食はあるの?

答え

あります!

朝から夕方までフルタイムで登園してくる子は園で給食を食べます。

ECCEクラスと呼ばれる、午前中4時間だけ登園の子は各自ランチボックスを持って登園します。

ECCEの保育料は政府からの援助で無料で、年齢に達する子は全員受ける権利があります。)

離乳食も対応しているところがほとんどですが、

園によっては、離乳食の時期は各家庭にお弁当の持ち込みをお願いしているところもあります。

(私の友人が子どもを預けている園がそうです。)

給食、おやつは英語でなんて言うの?

アイルランドで給食のことはDinner(ディナー)と呼びます。

午後のおやつはTea(ティー)

朝のおやつは Breakfast(ブレックファスト)、 Break(ブレイク)、Morning snack(モーニングスナック)などと呼ばれます。

  • 日本では0・1・2歳の未満児にのみ朝のおやつが出ることがほとんどですが、アイルランドでは大きい子にも全員朝のおやつが出ます。
  • 私の職場ではクラッカーやトースト、チーズなど手で持って食べられるスナックが多いですが、私の娘の通うクレッシュでは、机に座ってスプーンを使って食べる牛乳とシリアル各種が出ます。園によって様々です。

その他、Fruits Time(フルーツ・タイム)も毎日必ずあります。

リンゴ、洋ナシ、みかん、オレンジ、メロン、パイナップル、マンゴー、ぶどう、スイカ、バナナなどが

季節に合わせて日替わりで毎日2~3種類出ます。

アイルランドの子どもたちはみんなフルーツが大好きです。

お昼はランチ、夕食はディナーと呼ぶと学校で英語の時間に習ったのに!!

アイルランドの保育園で働き始めた当初はお昼をディナーと呼ぶことに本当に戸惑いました。

アイルランド人の夫に聞いたところ、彼が子どもの頃はDinner(ディナー)はお昼、

 Tea(ティー)は夕食の事を指したそうです。

ティータイムと聞くと、日本人の私はどうしても3時のおやつという感覚になってしまいます。

なぜそう呼ぶのか。

夫も詳しくはわからないと言っていますが、

彼の推測では、昔は、1日の中でお昼がアイルランド人にとっての一番大きな食事で、

寝る前の夕飯は軽く済ませる生活習慣だったからではないかと言っています。

ちなみに、レストランでは普通に昼はランチメニュー、夜はディナーメニューと呼ばれることが多いです。

ややこしいですね。(笑)

給食室はあるの?

答え

あります。

多くの保育園では、園の中に小さな給食室(キッチン)があってシェフもしくはクックと呼ばれる職員が給食を作ります。

アイルランドの保育園の給食室は、一般家庭のキッチンと同じくらいの大きさの所が多いです。

私の職場ではシェフは1人です。

保育園の規模によっては何人かいることもあるのかもしれませんが、大体の園ではシェフは1人だと思います。

日本の保育園には給食の先生(調理員)はたくさんいますよね。

園に給食室がなく、ケータリング会社から毎日給食が運ばれてくる保育園もあります

娘の保育園探しをしていた時に見学した『コミュニティクレッシュ』と呼ばれる、地域の有志によって作られたクレッシュ(私立のクレッシュよりも保育料が安い。日本でいう公立保育所のような立ち位置のクレッシュ)ではケータリング方式の給食を採用しているところが多かったです。

どんなメニュー?

4週間のローテーションメニューが組まれていることが多いです。

夏/秋メニュー

冬/春メニュー

という形で6か月に1回メニューが変更になります。

1週目、2週目、3週目、4週目の月~金曜日のメニューを期間の間は毎月繰り返していきます。

例えば7月の1週目の月曜日のメニューと8月、9月、10月、の1週目の月曜日のメニューは同じになります。

ディナーメニュー

私の職場のクレッシュの給食メニュー例

カドル(coddle) と呼ばれるアイルランド伝統的な食事も出ます。

(マッシュポテト、人参とパースニップのマッシュ、ハム、ソーセージ)

シェパーズ・パイ (羊のひき肉と玉ねぎ、人参、グリーンピースを炒め、その上にマッシュポテトを乗せてオーブンで焼いたもの)

ローストビーフ、マッシュポテト、ブロッコリーのグレービーソースがけ

ツナとスイートコーンのパスタ

チキンとブロッコリーのパイ

ラムシチュー

ラザニア

チキングジョン(一口サイズのチキンのフライ。とんかつの中身がチキンになったイメージ)

フィッシュグジョン(一口サイズの白身魚のフライ)

ポテトウェッジズ(くし形に切った皮付きのジャガイモを茹でてオーブンで焼いたもの)

チキンカレーとクスクス

ソーセージ、ワッフル(日本でいうアンパンマンポテト。マッシュポテトが成型されたフライドポテト)、

ビーンズ(レンズ豆のトマトソース煮)

スパゲッティボロネーゼ

アジア風 野菜やきそば

チリコンカン(チリ・コン・カルネとアイルランドでは呼びます)

など

娘のクレッシュの給食メニュー例

ビーフストロガノフと白米

チキンスプリーム

チキンとブロッコリーのパスタ

チキンキャセロールのポテト添え

マカロニチーズ

スイートサワーターキーと白米(酢豚のターキーバージョン)

チキンプリマヴェラパスタ(チキンのクリームソースパスタ)

チキンリゾット

野菜カレーライス

ほうれん草とトマトのパスタ

ターキーカルボナーラ

ロースト野菜とチキンのパスタ ペストソース掛け

(ペストはバジルとナッツ、オリーブオイルのソースです)

など

名前を見るとどれもおしゃれでおいしそうですよね。

特に、娘のクレッシュのメニューは横文字たっぷり(笑)

「なんじゃそりゃ?」とグーグルで夫と検索することも多々あります。(笑)

名前のわりに意外とシンプルな料理だったりします(笑)

ビーフストロガノフ イメージ図 混ぜるだけで簡単に作れる「おかずの素」の写真ですが参考になれば、、、
チキンスプリーム イメージ図 これも、「おかずの素」の写真です。娘が保育園で好きと聞いたので買ってみました。クリーミーなシチューみたいな感じです。

ティーメニュー

私の職場のクレッシュのティーメニュー例

バナナブレッド

ピザ

アップルブレッド カスタードクリーム掛け

スープとソーダブレッド(ジャガイモと長ネギのスープ、野菜スープ、トマトスープなど)

ライスプディング フルーツピュレ掛け(甘いミルクの中に入ったご飯です。。。私は苦手ですが子どもたちは大好き(笑)缶詰に入ってスーパーに売ってます)

ヨーグルト、バナナ

サンドイッチ

野菜スティックとクラッカー、フムス(ひよこ豆のディップ)

バナナブレッド
スープとソーダブレッド
ライスプディング
フムス(ひよこ豆のディップ) 野菜スティックやクラッカーにつけて食べます。ひよこ豆に白ごまペースト、オリーブオイル、ガーリックとレモンが入った味です。子どもたちも大好きです。

娘のクレッシュのティーメニュー例

スコーン

キャロットブレッドとチーズ

自家製ポテトウェッジズとビーンズ

ガーリックブレッド

チーズ&野菜スティックとブラウンブレッド

ブラック(Brack)レーズンのパウンドケーキ。

など

ポテトウェッジズ 
ブラックとは?

レーズンなどのフルーツの入ったパウンドケーキです。

アイルランドでは、ハロウィーンの時によく食べられます。

伝統的には、ケーキの生地の中に指輪を隠してブラックを焼き、人数分に切り分けた時に

指輪の入ったケーキが当たった人に幸運が訪れるそうです。

離乳食はどんな感じ?

離乳食は、英語でweaning (ウィーニング)と言います。

アイルランドの保育園で働き始めて驚いたことの1つが、

離乳食でも結構早い段階からラザニアやスパゲッティボロネーゼなど大人と同じ食事を子どもに与えるということです。

アイルランドでは、ハンドブレンダーと呼ばれる、ミキサーやフードプロセッサーに似たような調理器具を使って簡単に離乳食を作る人が多いです。

例えば、ラザニアだったらハンドブレンダーで混ぜてすりつぶしてドロドロのペースト状にします。

後は、子どもたちの離乳食の進み具合ですりつぶし具合を変えていきます。

日本では、おかゆ一つ作るにしても重湯から初めて10倍粥、7倍粥、5倍粥、軟飯とたくさんのステップを踏んでゆっくりゆっくり離乳食を進める人が多いですよね。

作る手間も時間もかかります。

アイルランドでももちろんそのように丁寧に進めてる人もいますし、週末にまとめて離乳食を作り置きする人もいますが、保護者達の話を聞く限りではお店で買ったレトルトの食事で簡単に済ませたり、家族と一緒の食事を小さく潰して食べさせる保護者が多いように感じます。

ハンドブレンダー

配膳方法は?

基本的にワンプレート方式です。

1つのお皿に食事が盛りつけられます。(小さい子はお椀型のボウル)

3歳以下はスプーン、3歳以上はナイフとフォークを使います。

日本では、ごはん、みそ汁、主菜、副菜がしっかり分けられて別々の器で配膳されますよね。

その点では大きく違うと思います。

特別食の対応と種類は?

日本の保育園では・・・

卵、乳製品、小麦粉などのアレルギー除去食医師の診断書の元に対応することが一般的です。

アイルランドでは・・・

アレルギー除去食加えて、宗教や健康のためなど様々な理由から特定のものを食べられない人、または食べたくない人、を尊重する文化がきちんと整えられています。

牛、豚、鶏肉の入っていないベジタリアンオプションはどの園にも必ずあります。

肉を入れていないだけの場合もありますが、

私の勤める園ではQuorn(クォーン)と呼ばれる肉の代替食品を入れて調理をしています。

特別食の種類

Vegetarian (ベジタリアン) 野菜、穀物、卵、乳製品を食べる人。

Vegan(ヴィーガン)肉、魚、卵、乳製品、はちみつなど動物に関する物をすべてを食べない

Pescatarian(ペスカタリアン)野菜、穀物、魚介類、卵、乳製品を食べる人

乳製品はDairy product(デアリ・プロダクト)と呼ばれます。

牛乳、バター、チーズ、ヨーグルト、などすべてDairyデアリです。

カタカナで発音を書くのがとても難しいのですが、、

私はリの前に小さいゥを付けてデイゥリと言って大体通じます。

アイルランドに来るまで私は知らなかった単語の1つです。

毎日の」という意味のDailyデイリーと完璧に間違えていました。

スペルをよく見るとLとRの違いが!!!!

日本人の苦手なLとR、それにまんまと引っかかった日本人の私です(笑)

当時は、牛乳は毎日飲むからデイリーなんだな~なんて勝手に間違えて解釈していました。(笑)

給食を食べる時間はどのくらい設けられているの?

日本では

給食の時間というと、【子どもたちが友だちや保育士とおしゃべりを楽しみながら楽しい雰囲気の中で食べる】というのが一般的で、30分から長くて50分くらい給食の時間が設けられていますが、

アイルランドでは、

15分から20分くらいの間に【黙々と、かつササっと食べる】傾向にあります。

おしゃべりをしたり手が止まっていると保育士に声をかけられることが多いです。

結構きびしいな、と働き始めた当初は驚いたものです。

保育士は必要に応じて食事介助、声かけをするのみです。

食べ物の好き嫌いに関しての対応は?

日本では苦手な物でも偏りなく食べられるように保育園でも努力をします。

少しずつ無理強いせずに、食べられたら褒めて子どもの自信につなげていくことが食育の狙いの一つにもありますが、

こちらアイルランドでは、声かけをして一口食べてごらんと促しはしますが、子どもが頑なに食べなかったら意外とあっさり皿を下げます。

嫌いなものを無理に食べる必要はないという意識のほうが強いように感じます。

(あくまで私の個人的な見解です。)

後で保護者に話を聞くと、子どもの苦手な食品は家ではあまり調理をしない食品の事が多いです。

同僚の保育士たちはよく、「家で食べないんじゃしょうがない。苦手なものを食べさせるようにするのは私たちの仕事ではない、保護者の仕事だ。」ときっぱり言い切ります。そこらへんは考え方がスッパリとしています。

そして、保護者も園にそこまで求めていないことが多いです。

(もちろん中には、子どもが園で苦手な食品があったと話を聞くと、家でも食べられるように練習しますと言う真面目な保護者もたくさんいます。)

ちなみに、保育士は日本の保育園のように子どもたちと一緒に給食は食べません。

子どものお昼寝中に交代で1時間ずつ休憩時間が設けられていて、時間内に好きなものを食べます。どこで何を食べようが自由。誰にも干渉されません。

給食の出ない日本の幼稚園では、先生も弁当持参で子どもと一緒に食べることが多いですよね。

実習で行った幼稚園では、子どもの食育の手本になるべく、先生の弁当の中身もバランスの取れた食事であるべき!!

コンビニ弁当なんてもってのほか!なんて園があった記憶があります。

健康には良いと思いますが、プレッシャーが半端ないですよね。。。

コンビニの弁当を買ってもいいが、弁当箱に詰め替える必要があるなんて話も幼稚園教諭の友人から聞いたことがあります。

め、めんどくさ、、、

日本ももう少し肩の力を抜けたらいいのにな~なんて、なまけものの私は思ってしまいます。

まとめ

今回はアイルランドの保育園の給食事情について書きました。

メニューを見ると、基本的にカロリーが高そうなものが多いですよね、、、(笑)

味のバリエーションの多さの点からも日本の給食は本当に素晴らしいです。

『なんでも残さず食べましょう』という精神のもとに、小さなころから肉も魚も野菜もバランスよく食べる習慣の人が多い日本で育った私は、アイルランドに来るまでアレルギー除去食以外の特別食について正直深く考えることはありませんでした。(私の子ども時代を振り返っても、宗教上の理由などで特定のものを食べない人は私の知る限りでは周囲にいませんでした。)

アイルランドに来た当初、ベジタリアンの人の多さに本当に驚きました。

ベジタリアンの人向けのメニューはどこのカフェやレストランでも当たり前のようにあります。

そして保育園でもそれを支える体制がしっかりと取られていることにも驚きました。

健康的な食事として世界に愛される日本食ですが、ダシとして鶏ガラやカツオを使っていることも多く、意外とベジタリアンの人には注意が必要なんだということにもこちらに来てからはじめて気が付きました。

国際化、多様化していく日本の保育園でも、いつかは特別食の選択が自由にできるようになるのが普通になる日も来るのかもしれませんね。

この記事が、アイルランドで保育士になりたいと思っている方や、海外の保育に興味がある人、アイルランドで子育て中の方などのお役に少しでも立てたらうれしいです。

質問などありましたら、どうぞお気軽にメッセージを送ってください。私のわかる範囲でお答えさせていただきます。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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