アイルランドで保育士として働き始めたころ、子どもたちが保育園で使う用品の
英語での名前がわからず、こまった経験がたくさんあります。
学校では教えてくれず、アイルランドの保育現場に出るまで知らなかった英語、
今回はその中の一つ、「おしゃぶり」について書きたいと思います。
「あれ、おしゃぶりって英語でなんて言うんだろう」
「アイルランドの保育園では、おしゃぶりを子どもに持たせてもいいのかな」
「アイルランドの子どもはいつ、どうやっておしゃぶりを卒業するのかな」
「おしゃぶりの妖精 Dodie Fairy(ドーディーフェアリー) ってなに?」
この記事を読めば、アイルランドでのおしゃぶりに関する疑問が一気に解決します!
これからアイルランドで保育士として働きたい方、アイルランドでの子育てに興味のある方のお役に少しでも立てればうれしいです。
アイルランドで「おしゃぶり」はなんていうの?
イギリス英語を使うアイルランドで「おしゃぶり」は
- Soother(スーダー、スーザー)
- Dummy(ドミー、ダミー)
と呼ばれています。
もっとも一般的な呼び方はSoother です。
Dummy もたまに聞くことがあるので、記憶の片すみに入れておくといいかもしれません。
スーパーや薬局ではもちろん、若者からお年寄りまでどんな年齢層にもsootherで
通じます。
(thの発音が苦手な私には、難しい単語ですがスーダーと言えば通じます。)
赤ちゃん言葉での呼び方
私の職場のクレッシュ(保育園)では、
1、2、3歳の子どもたちは
- Dodie(ドーディー)
- Duddie(デューディ)
- Du-du(デューデュー)
- Doh-doh(ドードー)
と呼ぶこともありますが、これはいわゆる赤ちゃん言葉(幼児語)です。
子どもたちには特にDodie がよく使われています。
日本語では、赤ちゃんに話しかける時に
ごはんの事を「まんま」、犬は「わんわん」、車は「ぶーぶ」
などと言ったりする事がありますよね。
赤ちゃん言葉は、子どもが全くまわりにいない環境の人が聞いたら
「???」
いったい何の話をしているのやら、とわかってもらえない可能性が高いです。
実際、私の夫(アイリッシュ)もdodieという言葉は知りませんでした。
赤ちゃん言葉が苦手な人には、知らないうちに嫌悪感を抱かせてしまうことも…
それは英語でも同じようです。
時と場合、使う相手にあわせて言葉を使いわけられるように、私も気をつけています。
アメリカ英語では?その他の英語圏では?比較
アメリカではPacifier (パシファイアー)と呼ばれるそうです。
私の夫いわく、アイルランドではほとんど聞かないとのことです。
その他の英語圏の国では、アメリカ英語を使う国か、イギリス英語を使う国かで呼び方は分かれるようです。
Pacifier(アメリカ英語) | Dummy(イギリス英語) | soother(イギリス英語) |
アメリカ | イギリス | アイルランド |
フィリピン | オーストラリア | カナダ |
ニュージーランド |
Soother の意味
Sootheという動詞には 「優しくなだめる」「鎮静させる」「やわらげる」という意味があります。
泣いている赤ちゃんを落ち着かせて静かにさせるもの→おしゃぶり
ということですね。
おしゃぶりの他にもsootheの例になるものは何かないかと、私の家にあるものを見て回ったところ、
おむつかぶれ用のクリームや、のど飴の説明にもsoothingという表現が使われていました。
ちなみに、
クリームはアイルランドの保育園で保護者に一番人気のsudocrem (スードークリーム)、
のど飴は薬局やスーパーなどによく売っているStrepsils (ストレプスィルズ)です。
保育園へのおしゃぶりの持ち込み。アイルランドと日本との違い
持ち込みはOK?それともNG? 使う頻度は?
持ち込みOK。
クレッシュ入園時の持ち物の説明で、むしろ持ってきてと言われる。
NGのところは今のところ私は聞いたことがない。
昼寝の時(Nap time)は常に使う。
日中は基本使わない。
入園時の泣く時は多少使うが、徐々に使う時間、回数を減らしていく。
持ち込みは基本はNGの場合が多い。
OKの園でも、使うのは入園時の泣く時だけか昼寝の時のみ。
使っている子どもの割合は?
アイルランド
毎年、クラスの半数近くの子どもは昼寝中Sootherを使っている。(今年度のグループでは12人中5人)
日本
私が働いていた時は一人か二人くらいしかいなかった。
数日から数週間で園では使わなくても平気になる子がほとんど。
(注:あくまで、私の経験のみで語っています。保育園によって、その年度によって人数、状況は変わります)
やめる年齢は?
アイルランド日本ともに3歳誕生日までにはと推奨されています。
アイルランドの子どもたちは、私の職場では大体2歳から3歳の間にやめています。
2歳半ごろから真剣に取り組み始める保護者が多いです。
でも、街に出ると4、5歳くらいに見えるおおきな子でもおしゃぶりをしている子もたくさん見かけます。
年齢が大きくなればなるほど辞めるのに苦労しているようです。
保育園でおしゃぶりを使わなくなるまでのステップは?
保育園では、あそびに誘ったり、コミュニケーションをたくさんとるようにして、なるべく子どもの気をまぎらわせて徐々に使う時間、回数を減らしていきます。
実は、おしゃぶりをやめさせるのが難しいと信じているのは保護者だけで、園ではおしゃぶりなしでも
気にしない子が多いです。
保育園でおしゃぶりを使わなくなるまでのステップは以下の通り↓↓↓
- 楽しい遊びなどで子どもの気をまぎらわせる
- タイミングを見計らって保育士が子どもの見えない所におしゃぶりをすばやく隠す
- 繰り返していくうちに、保育園では昼寝の時間以外は使わないものと子ども自身が認識するようになる
- 保育園入り口で自分でポケットにしまったり、親に手渡したりするようになる
保護者にするアドバイスは?
2歳頃から、昼寝の時間になるとおしゃぶりで遊んだり、噛んだりしてなかなか寝つかない子も増えてきます。
(注:あくまで私の経験上の話です)
そんな時は保護者にすかさず報告して、そろそろおうちでもおしゃぶりをやめてみたらどうかと
それとなく勧めてみます。
実際にやめるかやめないかは保護者の判断次第です。
おうちでおしゃぶりを使うのをやめたら、保育園でもやめます。
(保育園からやめるということは基本ありません。)
私からは、週末や、連休で時間のある時、保護者に覚悟ができた時に始めるようアドバイスをします。
仕事が忙しかったり、家庭の事情で保護者の気持ちに余裕がないときなどは、
親も子もストレスだけが溜まってうまくいかないことが多いです。
保護者へのアドバイスとして必ず念を押すことは、
一度やめると決めたら絶対に後戻りしない事!
子どもが泣いて叫んでも、なかなか寝なくなっても、心を鬼にして貫き通す事が本当に大切です!
(結局、毎晩泣き続ける子どもに負けておしゃぶりを渡してしてしまった保護者も何人かいました。)
挫折してしまう気持ち、痛いほどよくわかるんですけどね、、、
アイルランド流おしゃぶりのやめ方
私が保育園の保護者達に聞いたところ、ずばり3つの方法がありました。
- 「あなたは大きくなったから」と子どもに言い聞かせて、おしゃぶりをすっぱりと捨てる
- クリスマスのサンタさん、イースターのバニーに渡す(まさに長期休暇の時期、保護者が時間に余裕がある時ですね。)
- おしゃぶりの妖精に渡す
3つに共通して、おしゃぶりをやめられたらごほうびにプレゼントをもらう子が多いです。
おしゃぶりの妖精 Dodie Fairy ってなに?
アイルランドのクレッシュで働き始めてから知った、
おしゃぶりの妖精 Dodie Fairy(ドーディーフェアリー)
子どもの乳歯が抜けた時に来る歯の妖精 tooth Fairy(トゥースフェアリー)は知っていましたが、
まさかおしゃぶりにも妖精がいるのか、と驚いた事を覚えています。
おしゃぶりをやめると決めたら、おしゃぶりの妖精に自分の持っているすべてのおしゃぶりを渡します。
(おしゃぶりをしている子は、だいたいバックアップ用に何個も何個もおしゃぶりを持っています。カバンの中、ジャケットのポケットの中などすべてのポケットに抜かりなくおしゃぶりがはいっていた強者もいました(笑))
妖精の国アイルランドならではの、かわいらしく夢のあるおしゃぶりのやめ方ですね。
妖精に渡す方法は2つ!
- 妖精の住む木(フェアリードアがついている木) に おしゃぶり を持っていく 。
- 妖精あての封筒におしゃぶりを入れて、寝る前に自宅のドアや窓の所においておく。
何が起きるの?子どもにどうやって伝えるの?
- 寝ている間に妖精が来ておしゃぶりを持っていく
- 次にどこかでおしゃぶりを必要としている赤ちゃんのところに妖精が届けに行く
- おしゃぶりを使わないで眠れたら、妖精が朝プレゼントを置いていく。(家庭によってプレゼントはある場合とない場合があります。笑)
妖精の住む木はどこにあるの?
妖精の国とも呼ばれるアイルランドでは、各地の公園や森の小道で「フェアリードア」がついている木を
たくさん見つけることができます。
色とりどりのフェアリードアには、それぞれ子どもたちの名前が書いてあったり、
かわいいデコレーションがされています。
個人宅のお庭にフェアリードアがあることも!
私の家の近くにもフェアリードアがたくさんある公園があります。
公園管理のおじさんに聞いたところ、その一角だったら誰でも自由にフェアリードアを設置していいそうです。
ダブリン北側だと、
- セント・アンズ・パーク
- フェアビュー・パーク
- マラハイド・キャッスル
(注:マラハイド・キャッスルは有料です。)
で、フェアリードアのたくさんついている妖精の木を見つけることができます。
ダブリン南側のマーレイ・パークにも数年前までフェアリーツリーがあったそうなのですが、
自然災害で木が傷んでしまい残念ながら現在は無くなっているそうです。
ダブリン南側にはあまり詳しくないので、南側の情報が少なくてすみません。
私が知らないだけで、他の場所にもきっともっとあるはずなので、今後見つけ次第アップデートしていきます!
アイルランドの保育園でのおしゃぶり保管方法
- 家と保育園で兼用はしない。園専用のおしゃぶりを用意してもらう
- 一人ひとりのおしゃぶりに名前シールを貼って、個別の箱に入れて保管
- 使い終わった後はきれいに水洗い、電子レンジで除菌する
- 噛みちぎってゴム部分が切れていることもあるのでその都度チェック
- 壊れていたら誤飲の危険があるのですぐに処分
- 保護者に伝えて新しいものを持ってきてもらう
- 古くなって汚れている場合や、おしゃぶりのサイズが小さくなっているときも交換してもらう
まとめ
- アイルランドでおしゃぶりはSootherと呼ばれていて、赤ちゃん言葉だとDodieと呼ばれている。
- アイルランドの保育園(クレッシュ)では、おしゃぶりの持ち込みはOK。
- 使っていいのは昼寝の時のみ。
- 毎年クラスの半数近くの子がおしゃぶりを使っている。
- おしゃぶりをやめる年齢の平均は大体2歳から3歳のあいだ。
- おしゃぶりの妖精がいる!
今回はアイルランドのおしゃぶり事情についてまとめてみました。
これからアイルランドで保育士として働きたい方や、オーペアとして働きたい方、またはアイルランドで子育てを始める方などのお役に少しでも立てたらうれしいです。
質問やご相談などありましたら、お気軽にコメント欄やお問い合わせフォームよりメッセージを送ってください。私のわかる範囲でできる限りお答えさせていただきます。
最後までお読みくださりありがとうございました。