アイルランドの保育

コロナウイルス|アイルランド現地保育園の感染対策と現状

コロナウイルスが世界的に大流行しはじめてから1年と数か月。

流行が始まった頃には、まさかこんなに長引くとは誰もが想像できませんでした。

最近のアイルランドでは、ワクチンの接種率が日々上り、行動規制も少しづつ収まってきました。

ロックダウン中に政府の要請で閉まっていたお店やヘアサロンも、約4か月ぶりに営業再開。

段階を経て、人々の暮らしが少しづつ元に戻ってきて、希望が見えてきました。

今回の記事では、アイルランドの現役保育士の私が

保育現場でよく使うコロナに関する英単語

アイルランドの保育園でのコロナの感染対策は?

コロナ流行が始まってから保育園の園生活はどう変わった?

コロナ渦での保育士の立場は?給料は?

休園期間・登園制限期間を経て現在は?

この5つをまとめてお伝えします。

この記事が、これからアイルランドで保育士として働きたい方、海外の保育現場でのコロナ対策に興味のある方、アイルランドで子育て中の方のお役に少しでも立てたら嬉しいです。

保育現場でよく使うコロナに関する英単語

英語読み方意味
Covid-19コヴィットコロナウイルス
Coronavirusコロナヴァイルスコロナウイルス
Pandemicパンデミック爆発的な世界的流行
Social distancingソーシャルディスタンスィング社会的距離
Quarantineクアランティン隔離
Self- isolationセルフアイソレーション自主隔離
Lockdownロックダウン都市封鎖
Restrictionsリストリクションズ制限
Vaccineヴァクスィーンワクチン
Vulnerableヴァルナブル傷付きやすい、影響を受けやすい、弱い立場
Covid test resultコヴィットテストリゾルトコロナ検査結果
Positiveポジティブ陽性
Negativeネガティブ陰性
Close  contactクロースコンタクト濃厚接触者
Dropletsドロプレッツ飛沫
Germsジャームス細菌
Infectインフェクト感染する
Disinfectディスインフェクト消毒する
Hand Sanitizerハンドサニタイザーアルコール消毒ジェル
ventilatedヴェンティレーティッド換気
symptomsスィンプトムズ症状
Feverフィーバー
Sneezeスニーズくしゃみ
Coughコフ
Runny noseラニーノーズ鼻水
Green snotグリーンスノッツ緑色の鼻水、青っぱな
Tirednessタイヤードネス疲れ
Sore throatソアスロート喉の痛み
Shortness of breathショートネスオブブリーズ呼吸困難

ウイルス、ワクチンと言っても海外では100%通じません!!!

この読み方はドイツ語から来ているようです。

ヴァイルス、ヴァクスィーンと言いましょう!

アイルランドの保育園でのコロナの感染対策は?

プレイポッドシステム(play pod system)ってなに?

保育園の中で少人数のグループをいくつか作り、他のグループとの接触をしない事で感染拡大を抑えます。

もしも自分のポッド内でコロナ感染者が出たとしても、関わる人数が最小限なので、そこから濃厚接触者を特定しやすく、保育園全体を休園にする必要がなくなります。

ちなみに、プレイポッドシステム導入後も、アイルランドの保育士配置基準の規則にのっとり、

1人の保育士が担当できる子どもの人数の割合はきびしく守られています。

アイルランド 保育士配置基準

0-1歳 保育士1人:子ども3人

1-2歳 保育士1人:子ども5人

2-3歳 保育士1人:子ども6人

3-6歳 保育士1人:子ども8人

アイルランドではAdult/child ratios と呼びます。「比率」という意味です。

読み方は「レーシオス」です。

日本の保育園では、ちゅーりっぷぐみ、きりんぐみ、など年齢ごとにクラスの名前が決められていることが多いですが、アイルランドではクラスにかわいい名前があることはあまりありません。

大体は以下のようにシンプルな学年区分で呼びます。

学年区分読み方年齢クラスの特徴
Babyベイビー0歳から1歳0歳児クラス
ねんね、おすわり、ずりばいの赤ちゃんのクラス。
哺乳瓶でミルクを飲んだり、離乳食を食べ始めたりします。
Wobblerウォブラー1歳から1歳半直訳すると「よろよろする人」「ぐらぐらする人」(笑)
ハイハイしたり、つたい歩きを始める頃の子どもたちのクラス。おもしろい表現ですね。
Toddlerトドラー1歳半から2歳自分でよちよち歩きはじめた子どもたちのクラス
この頃、言葉も少しづつ話しはじめます
Playschool/
Pre-school
プレイスクール/
プリ・スクール
2歳から3歳いわゆる「魔の2才児」クラス(笑)
自分でやりたい気持ちと上手にできない葛藤から
イヤイヤ期真っ最中の子が多いです
Montessoriモンテッソーリ3歳から4歳モンテッソーリ教育が行われるクラス
Ecce
(The Early Childhood Care and Education)
イーシーシーイー2歳8か月から小学校入学までアイルランド政府による子育て支援
年齢が満たしている子は全員対象
保育・教育無料で受けられる
週5日 毎日3時間 1年38週
(学校に準じて春、夏、秋、冬休みあり)

Afterschool
アフタースクール4歳または5歳から学童保育
アイルランドでは、日本でいう年中(4歳児)の子どもたちから小学校に通い始めます。子どもの発達をみて、
親の判断で小学校に入学させる年齢を決められます

なるべく少ない人数でポッドを作る努力は必要ですが、

ポッドの人数制限は特になく、園児数、職員数、保育室の数、広さなど、園の規模によって、ポッドの大きさは変わってきます。

  • baby/wobbler、 toddler/playschool など2学年合同で1つのポッドを作るところもあります。
  • 職員の休憩時間の確保のため、大体の園は1つのポッドに保育士2人いることが多いです。
  • 障がい児保育を行う園では、サポートをする加配保育士が1人追加され、3人保育士がいることもあります。

感染対策

  • それぞれのポッド専用のおもちゃを用意。ポッドを超えて貸し借りはしない。
  • 園庭は時間を区切ってポッドごとに使用する。使い終わったら滑り台や乗り物などにスプレー消毒する。
  • 園内の行動制限マスクの着用の徹底
子ども自分の保育室、廊下、おむつ交換部屋、トイレなど決まった所のみ移動できる
マスク着用はしない
保育士基本は自分の保育室に留まる
マスクの使用は時と場合によって変わる
保護者対応・・・マスク着用
園内の移動・・・マスク着用
保育室の中・・・マスク着用義務なし
保護者園の中に入らず、ドアの所で子どもの受け渡し。
保育者と保護者は2メートルの社会的距離を図る。
マスクは必ず着用。連絡事項はアプリを通じてやり取りする。
  • 登園時の問診徹底(鼻水、咳、熱、24時間以内に熱さましの薬は飲んでいないか)
  • 子どもの手洗い徹底(お湯、石鹸で洗う。鼻かんだ後、食事の後など、手をなめたら必ず)
  • おもちゃの洗浄、消毒の徹底(一度使ったおもちゃは、片づける度にミルトンで洗う
  • おしぼりタオル、シーツなど洗濯物は60度のお湯で洗う
  • 自宅から物は持ち込ませない(菌を持ち込む可能性を最大限に抑える)

コロナ流行が始まってから保育園の園生活はどう変わった?

  1. 保育時間の短縮(異年齢合同保育ができないので、早番・遅番がなくなり全員同じ時間に出社、退勤。労働時間の関係上、必然的に保育時間も短くせざるを得ない)
  2. 朝・夕の異年齢児合同保育がなくなる
  3. 各クラスの園庭の使用が時間割制になった(コロナ以前は、天気のいい日は全クラス外で一緒に遊んでいた。)
  4. 保護者が園内に入れなくなった
  5. アプリを導入。連絡事項のやり取り、子どもの園内での様子はアプリを通じて写真を送る。
  6. 卒園式、クリスマス会などのイベント中止
  7. ハグはできるだけしない(とはいえ、小さい子のクラスはだっこする機会がどうしても多いです。他クラスの子どもたちに久しぶりに会った時など、嬉しくてハグしたくなりますが今は禁止です)
  8. 音楽などの外部講師のクラスは中止(毎週一回、歌や楽器、リトミックを子どもたちに教える先生が外部から来ていましたが、クラス間の移動やおもちゃの使いまわしが出来ないため現在は中止)
  9. 子どもと一緒にするお菓子作りは中止(コロナ以前はどのクラスも頻繫にお菓子作りをしていました。)
  10. ケーキなどの手作りの持ち込み禁止(コロナ以前は手作りの誕生日ケーキを持ってくる家庭も多かった。)
  11. サークルタイムで使う物の家からの持ち込み全面禁止

3・4歳のモンテッソーリのクラスでは、サークルタイムで子どもたちが毎週習うテーマが決められています。

例えば春だったら動物の赤ちゃんの名前、ちょうちょうのライフサイクル、花、茎、葉など花の部位の名前など・・・

毎週金曜には、一週間のまとめとして、習ったテーマに関する物を家から持ってきて、

(家にあるぬいぐるみでも、おもちゃでも、絵本でもなんでもOK。でも、わざわざ買う必要はない。自分で書いた絵や工作、家にあるもの、想像力を使うものが好ましい)

それを使ってみんなの前で自分なりの言葉で発表していました。

保育園で熱が出た時の対応は?

コロナ前

37.5℃以上の熱が出たら保育園で解熱剤を飲ませる。

お迎えをお願いすることはめったになかった。

コロナ後

37.5℃以上の熱が出たらアプリを通じて保護者に常に報告。

38.0℃の熱が出たら即迎えをお願いする。

園での解熱剤投与はなし

熱で園を早退した時は、コロナの検査を受けて陰性と判定されるか、

熱が下がってから48時間経過した後、保育園に戻ってこられる。

病欠した後は問診表に記入してから再登園できる

咳の症状が見られるときは?

コロナ前

咳で連絡することはまずなかった。お迎えの際に咳が出てたと伝えるぐらい。

コロナ後

保育園内で咳をし始めたら保護者に連絡し迎えに来てもらう

コロナの検査を受けて陰性と判定されるか、

咳が完全におさまってから48時間経過した後、保育園に戻ってこられる。

(保育園に戻ってきて、再び咳をしたら即家に送り返す)

アイルランドの解熱剤 カルポール/ニューロフェンってなに?

アイルランドでは、子どもの熱が出たらとにかくカルポール、ニューロフェンという、子供用の解熱剤を愛用します。

どちらもスーパーや薬局で気軽に手に入ります。

甘いイチゴやミカンのにおいのするシロップ状の薬で、

シリンジと呼ばれる、針のない注射器状のものを子どもの口に入れて投薬します。

カルポールはパラセタモール、ニューロフェンはイブプロフェンが主成分です。

ニューロフェンは喘息持ちの人、アスピリン喘息のある人には使えないので注意が必要です。

保育園では園長もしくは主任のみが与薬できます。

登園前に家で薬を飲ませていないか、された場合何時に与薬されたのかもきちんと確認し、過剰投与にならないように細心の注意を払います。

はじめにカルポールを子どもに与えて様子を見て、熱がそれでも上がり続けるようならニューロフェンを追加で与えていました。(熱が急激に上がった時のみ。その他は基本カルポールのみで様子を見ます。)

コロナ前は、一日の与薬容量めいっぱい保育園で与薬されていた子どももいました。

保育園で薬を与薬した場合は、書類に時間、容量、与薬した人の名前とサインを記入し、お迎えの時間の時に保護者に見せて保護者のサインをもらいます。

子どもの熱で病院に連れて行ったら、とりあえずカルポール、ニューロフェンを飲ませろと医者に勧められ、

歯の生え始めのぐずる時にはカルポール

予防接種の後の副反応の熱を予防するためにもカルポール

捻挫や骨折など大きなケガをした時には痛み止めのカルポール

咳が出てのどが痛そうなときにもカルポール

機嫌が悪いときにはとにかくカルポール!!!

旅行の時にはカルポールを忘れずに持っていくという念のいれよう

熱は体が病気と闘っている証拠、むやみに熱を下げるものではないと信じて生きてきた私、カルポールをすぐに使うアイルランドの人たちに初めは本当に驚きました。

痛みをとにかく嫌うアイルランド人。

解熱剤や痛み止めを使うことを悪だと考える人は本当に少ないです。

避けられる痛みはできるだけ避けて体の負担を減らすことを第一に考えるようです。

私の職場のアイリッシュの同僚たちも、痛み止めの薬はいつも誰かが必ずカバンに常備。

なければ薬局に走って買いに行きます。

アイルランドでは出産の時にも、無痛分娩を選ぶ人がほとんどです。

日本の保育園で働いていた時は、熱性けいれんを起こしたことがある子が何人かいましたが、アイルランドの保育園では今のところ聞いたことがありません。これもカルポールのおかげなんでしょうか。

コロナ渦での保育士の立場は?給料は?

5月下旬現在、高齢者や医療関係者、持病もちの人などに対してのワクチン接種がだいぶ進んできたアイルランドですが、保育士のワクチン接種優先順位は本当に低く、まだしばらく接種はできそうにありません。

年齢が小さな子は自分で鼻水を上手にかめず、子どもの咳やくしゃみを顔の至近距離で受けることは日常茶飯事。

現在は少人数グループ制とは言え、それでもたくさんの子ども、保護者と毎日関わり、

集団保育による感染リスクは常に隣り合わせの保育士。

保育士のワクチン接種優先順位を上げてほしいと、全国の保育士たちが立ち上がって署名活動をしていましたが、残念ながらいまだに状況は変わっていません。

給料は?

5月現在、保育士の給料は政府からの支援で全額支払われています。

2020年3月に一番初めにロックダウンが始まった頃、

保育施設は政府の要請で3か月間休園しました。

その間、保育園の保育料収入はゼロ。(保護者は保育料を払う必要がなかった)

保育園は収入がないので保育士の給料が払えない

保育士の大量失業の危機!!!!

そんな中、

アイルランド政府が保育園に対して保育士の職を守るための手当を発給

(初めの2週間は手当の制度が決まっていなかったので、保護者が休園にも関わらず2週間分の保育料を払いました。)

3か月の休業期間も全額支給されました。

保育園が再開してからも、

コロナを機に失業し、退園せざるを得なくなった子どももたくさんいて、保育園の収入がまだまだ不安定という状況から、

今のところ、このシステムは7月ごろまで続くと言われています。

コロナ前と同額が給料として振り込まれていますが、税金が引かれていないので、実質はコロナ前より少ない金額になっています。

同じ時間働いて、掃除などの仕事が増えたにも関わらず給料は減るという現実。

溜まりに溜まった分の税金が今後徴収されていくそうです。

ただでさえ保育士の給料は安いのに、、、(泣)

休園期間、登園制限期間を経て現在は?

コロナ流行が始まってから現在に至るまでのアイルランドの保育園の変化を時系列でまとめてみました。

2020年1月

中国で感染が広がり始めているとニュースで報道されてはいたが、特に保育園では話題に上がることはなかった。

2月

世界中で感染者が増え始め、だんだんアイルランドでもザワザワし始める。私の職場でもおもちゃの消毒など以前にも増して気を付けるようになった。

3月はじめ

小学校がしばらく休校になるとの噂、セント・パトリックスデー・パレードが中止になるかもとの噂が流れ始めるが保育園は通常開園。

2020年3月から2020年7月まで

ロックダウン

政府の要請で全国の保育園休園決定(この時、いつまで続くかの期間は未定)

子どもたちは自宅待機

保護者会社勤めの保護者は自宅から働く。飲食店勤務、スーパーなどの生活必需品を取り扱う店以外のお店勤め、美容師などは休職もしくは失業。

8月

保育園の徹底的な掃除、職員へのコロナ対策の研修のあと3か月ぶりに保育園再開

新たなルールのもと保育開始。

2021年1月

感染爆発的拡大を受け、エッセンシャルワーカー(医療関係者、自宅外で働く人)の子どものみ受け入れる。自宅から働いている家庭は基本受け入れない。

2021年5月現在

プレイポッドシステムは続行中

子どもの人数もほぼもとに戻る

まとめ

今回の記事では、アイルランドの現役保育士の私が職場でよく使うコロナに関する英単語と、アイルランドの保育園のコロナの現状をまとめました。

保育園のコロナ対策については、私の娘の通っているクレッシュ(保育園)と、私の職場のクレッシュで多少の違いはありますが、基本は大体同じです。

(建物上の関係、保育園の園児数や規模の関係で園それぞれのやり方があります。)

コロナが流行する前と今とでは本当に色々なことが変わりました。

アイルランドの保育園で働き始めた当初、手洗いに対する意識の違いに驚いた事を覚えています。日本人は外から帰ったら手洗いうがいをすることが子どもの時からの習慣になっていますが、こちらではコロナのおかげでようやく手洗いの大切さを意識し始める人が増えてきたような感じがします。(もちろん人によりますし、あくまで私の個人的な感想です。)

まさかマスクをしてアイルランドを歩き回る日が来るとは絶対に想像できませんでした。

一日も早くコロナが収束して前のような生活に戻れますように。

今回もお読みくださりありがとうございました。

アイルランドの保育園で働くことに興味のある方など、ご質問やご相談がありましたら、どうぞお気軽にコメント欄やお問合せフォームよりメッセージを送ってください。私のわかる範囲でできる限りお答えさせていただきます。

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