日本で入園・進級シーズンと言えば4月ですが、こちらアイルランドではどうでしょうか。
4月?それとも別の時期?
日本のように入園・進級式はあるの?
入園の際に各家庭で用意する物(入園グッズ)はあるの?
入園後の慣らし保育期間はあるの?
そんな疑問をお持ちの方、この記事を読めばスッキリ解決します!
アイルランドで保育士になりたいと思っている方、海外の保育に興味のある方、アイルランドで子育て予定の方などのお役に少しでも立てれば幸いです。
アイルランドの保育園の入園・進級シーズンはいつ?
9月です。
アイルランドでは、9月に新学年が始まります。
4月は特に大きな行事はありません。
卒園式が6月末にあり、(Graduationグラデュエーションと呼びます)
7月、8月と夏休みを2か月はさんで、
9月から新学年が始まります。
新学年の事を英語でなんていうの?特別な呼び方はある?
2か月もの長い夏休みを終えて学校に戻ってくることから、
こちらでは新学期の事を【Back to School(バック・トゥー・スクール)】と呼びます。
8月に入ると、どこのお店でもBack to School特設コーナーが設けられ、
入学、進級に向けて、
文房具、ランチボックス、ウォーターボトル、バックパック(リュックサックをこちらではバックパックと呼びます)、制服、くつ
など の学校に必要なお買い物が、一か所で一度に出来るようになっています。
日本では、キャラクター物のかわいいお弁当箱などを、一年中いつでもどこでも手に入れることが出来ますが、
こちらアイルランドでは、この時期を逃すとお店での取り扱い自体無くなってしまうことが多いので、
うっかり壊してしまったりすると、同じようなものを探すのに本っ当に苦労します!!
(個人的な感想としては、日本で売っているものに比べると値段が高いわりに質は悪く、壊れやすいものが多いのです、、、)
かわいいキャラクターの物など、気に入ったものがあった場合は早く買わないとすぐに売り切れになってしまいます。
2か月の夏休み中、保育園児たちはどこでどう過ごしているの?
夏休みが2か月と書きましたが、
2か月ものあいだ、保育園に通う子たちはどこでどのように過ごしているの?と疑問が出てきますよね?
2通りの過ごし方に分けられます。
①ECCEクラスで3時間の無料保育を受ける子は(3歳以上は全員対象)
2か月間まるまるお休みになります。
家で過ごしたり、サマーキャンプと呼ばれる課外授業に個人的に参加して2か月間を過ごします。
“キャンプ”
と聞くと、遠くの山に行って外にテントを張って寝泊りするキャンプを思い浮かべられる方も多いと思いますが、ここで呼ぶキャンプとは、それではありません。
(もちろん、外にテントを張って寝泊りするサマーキャンプもありますが、大体は小学生以上の大きい子ども向けなので、ここではあえてあまり触れません。)
ここで言うサマーキャンプとは、
工作、劇、科学実験、音楽、スポーツ、料理などに特化した講師または団体が、公民館などの一室、公園などに個人的に生徒を数名集めて教えるクラスのことをキャンプと呼びます。
だいたい1週間単位でプログラムが組まれているところが多いです。
時間は朝の9時から13時くらいのまでのものが多く、長くても15時半くらいには終わってしまいます。
5月末くらいになると、あちらこちらでサマーキャンプの生徒を募るチラシを見かけるようになります。
フェイスブックやWhatsAPP(ワッツアップと読みます。日本でいうLINEラインのようなものです。)の地域コミュニティグループからキャンプの情報を仕入れることもできます。
②クレッシュにフルタイムで来ている子(保育園に週5日登園し、朝から夕方まで1日中保育を受ける子)は、保護者が共働きの場合がほとんどなので、
この2か月間も毎日変わらず1日中保育園で過ごします。
ただし、この2ヶ月間は、入れ替わりでクレッシュをお休みする子どもと職員が多くなる時期になるので、
モンテッソーリの時間や、毎週のテーマやカリキュラムに沿った学びの時間は基本的にはありません。
夏ならではの水遊びや工作などをして毎日を楽しく過ごします。
アイルランドでは、お休みは夏にどーんと1週間~2週間、長期ホリデーを取って旅行に行く家庭が本当に多いです。
入園・進級式はあるの?
ありません!
特別な式典は行われず、初日から普通に保育が開始されます。
(ちなみに、小学校は8月の最終週から新学期が始まるところが多いです。)
私の働いている園では、9月の混乱を避けるため、進級する子は8月の中旬頃から新しい教室に移動してもらい、
新しい担任とクラスメートにひと足早く慣れておいてもらいます。
そうすることで、9月から入ってくる新入園児のお世話がさらに手厚く出来るように配慮しています。
おそらく、多くの園でこのような配慮がされているのではないかと思います。
登園初日の服装は?
普段着です!!
日本で一般的な『入園式』というと、
園児、保護者、職員全員が正装してホールなどに集まり、
園長先生のお話を聞いたあと、新入園児・新しいクラス担任の紹介がされますよね。
でも!
ここアイルランドでは、
初日でも、子どもも保護者も職員もみんな普段着です。
日本では卒園、入園式シーズンに向けて、
保護者向けに春っぽいスーツなどが衣料品店に並びますが、
アイルランドではそのような光景は見られません。
また、園庭の桜の木の下や、入園式の立て看板の前で
家族みんなでオシャレして入園の記念写真をパチリ。
なんて光景もここアイルランドでは残念ながら見られません。
行事についても、保護者を巻き込んでの行事は、クリスマスの発表会と卒園式くらいの園が多いのではないかと思います。
(もちろん各園の方針によります。
娘の通う園は、スポーツデーやセントパトリックのパレードなどもやったり、姪の通う園は母の日にお母さんだけを集めてミニ発表会をやったりするそうです。
個人的な意見としては、大手チェーンのクレッシュは、行事は最低限に抑えられている傾向にあると思います。)
なんで式をしないの?
理由は2つ。
1つ目は文化の違いです。
アイルランドのみならず、欧米ではほとんどそうだと思いますが、
保育園をはじめとして、小学校でも中学校でも改まった『入学式』というものはなく、
『First day of school学校の初日』ということが大切にされています。
2つ目の理由は、
入園・進級する園児のタイミングがみんな違うからです(特に3歳以下)。
アイルランドでは、保育園の定員に空きが出たら、そのつど新入園児が入ってきます。
なので、入園の時期がみんな揃って9月とは限らないのです。
(ちなみに、待機児児童問題はアイルランドでもとても深刻です。2年待ちはザラです。)
入園のタイミングが違う、というのは簡単にお分かりいただけたと思いますが、
ん?
進級のタイミングが違う?
どういうこと?
9月じゃないの?
と思われた方、ご説明します。
0、1、2歳の赤ちゃんと、3歳以上の幼児の間でもすこし違うので、そちらも分けてご説明します。
日本と違う!アイルランドのクラスの分け方と進級のタイミング
クレッシュのクラス分けはどうなっているの?
0歳から5歳までクレッシュに通えます。(実際は年齢に幅がありますが、ここではわかりやすく5歳と書きます。)
園の規模によって年齢の分け方に多少違いがありますが、基本的には
0~1歳 Baby(ベイビー)
1~2歳 Wobbler(ウォブラー)
2~3歳 Toddler(トドラー)
3~5歳 Pre-school(プリ・スクール)/Montessori(モンテッソーリ)
の4つのクラスに分けられます。
※このほかに学童保育 After school (アフター・スクール)のクラスもあります。
大規模園では、時には同学年に複数のクラスが存在します。
日本の幼稚園でも、大きい園だと1学年にクラスが2~3クラスずつありますよね!
日本は横割り保育 アイルランドは縦割り保育
日本のほとんどの幼稚園、保育園で採用されている方式です。
0歳クラス
1歳クラス
2歳クラス
というように、
同じ学年の子が一緒の教室で過ごすのが横割り保育です。
4月に入園・進級したら、同じクラスメイトと1年間一緒に過ごします。
アイルランドのクレッシュで採用されている保育方式です。
日本でも、小規模の保育園や子どもの出席人数の比較的少ない土曜日の保育の際などによく採用されます。
違う年齢の子どもたちが一緒の部屋で過ごすのが縦割り保育です。
“異年齢合同保育”なんて呼ばれたりもします。
例えば3、4、5歳の子どもたちが一緒の部屋で同じ保育を受けることです。
進級のタイミングが違う!!
ここアイルランドでは、
0、1、2歳の乳児クラスでは、
子どもたち一人ひとりの月齢や発達段階に合わせて、1年の中でみんながバラバラに進級していきます。
9月を待たなくてよいのです。
つまり、1歳のお誕生日を迎えた子、1歳半を迎えた子など、
各園のクラス分けの年齢区分に沿って、年度の途中でも次々に所属するクラスを進級していくのです。
基本はクラスの中にいる子どもたちの誕生日の早い順から進級していきます。
(進級先のクラスの空き状況によっては、何か月か待たなければならない事もあります)
でも!!
たまに、例外で発達が早い子を先に進級させることもあります。(歩き始めたのが早い子、おむつが早く取れた子など)
保育士と保護者で相談しあって進級時期を決めていきます。
1年の中でネンネからハイハイ、アンヨと目まぐるしく成長していく赤ちゃん。
一人ひとりの成長のスピードの個人差も大きい時期ですし、
また、離乳食の進み具合、睡眠時間などにも差があります。
それぞれの成長する発達段階によってクラス分けがされるのはとてもいいことだと思います。
でも、
そうすることで起きる問題が1つ。
『なんでうちの子はまだ赤ちゃんクラスにいるの?』
『うちの子は、赤ちゃんクラスの活動内容に飽きてしまっている』
『うちの子を次のクラスに早く進級させてほしい!!』と要望してくる保護者たち。
意外とたくさんいます。
保育料も、年齢が上がるごとにだんだん安くなっていきます。
なるべく早く次のクラスに上げたい親の気持ちもよく理解できます。
すべての要望に応えてあげたい気持ちは山々なのですが、大体の場合は進級先のクラスに空きがない事が多く、
何か月か待ってもらう場合もたくさんあります。
3歳からは、
3、4歳(時には5歳)の子どもたちが同じ部屋で合同保育を受ける縦割り保育の方式がとられます。
(厳密には2歳8か月から。3時間無料のECCEクラスに入れる年齢が2歳8か月からと政府で決められています。)
※3時間無料の保育を受けられるECCEスキームが2年間有効なので、ほとんどの子が2年間プリスクールに通ってから小学校に上がりますが、
子どもによっては1年間のみプリスクールに通う子、3年間プリスクールに通う子もいます。(その場合はECCEの3時間無料保育は対象外になるので、最後の1年間は保育料を全額負担する必要があります。)
アイルランドでは子どもたちの成長速度や個性の違いを尊重し、保護者の判断で小学校に入学する年齢を決められます。
9月の時点で、4歳になってすぐ小学校に入学する子もいれば、6歳に近い5歳で入学する子もいます。
日本ではよくある、「うちの子は早生まれだから、学校でみんなについて行けるか心配だわ」という保護者の悩みが、これによって軽減されます。
小学校入学を1年先延ばし出来る選択肢があることは素敵なことだと思います。
入園の際に各家庭で手作りで用意する物(入園グッズ)はあるの?
ありません。
園からサイズなどを指定されての保護者手作りのバッグなどを用意することはまずありません!!
入園の際に園指定の用品を買う必要はある?
ありません。
ハサミやクレヨンなどの文房具はすべて園にあります。
それをみんなでシェアして使います。
粘土も個人持ちではありません。
小麦粉粘土などを保育士がそのつど作り、その日のうちに処分します。
園指定のおそろいの道具箱などを買うこともまずありません!!
※稀ですが、園によっては制服がある園もあります。
娘の通うクレッシュでは、3歳からは園指定のポロシャツを買う必要があります。
入園にあたって準備するものは?
全園児共通のもの
着替え1式
日焼け止め(夏)
日よけ帽子(夏)
この3点くらいでしょうか。
あとは、オプションであったらとても便利なものとして
レインギア(雨具の事です)
も個人的に用意することをお勧めします。
私は職場の影響でRain Gear (レイン・ギア)と呼びますが、
他にもいろいろ呼び方はありまして、
rain wear (レイン・ウェア)
Rain trousers (レイン・トラウザーズ)
waterproof Dungarees (ウォータープルーフ・ダンガリーズ)
puddle suit (パドル・スーツ)
とネットでサーチすれば色々なお店の商品が出てきます。
H&M,Regatta,Amazon などで購入する保護者もたくさんいます。
パドルスーツは、生地の薄くてかわいい絵柄のものが多く魅力的なのですが、
水がしみ込んですぐにビショビショになってしまうので、要注意です!
そして、全身つなぎになっているので、子供が一人で着るには着脱しづらいので、個人的にはレイン・ギアとジャケットの組み合わせが1番お勧めです!
Lidl リドル というスーパーマーケットで売り出されるものが安くて丈夫で個人的にはお勧めです!(毎年大体8月の最後くらいに売り出されます。チラシを要チェックです。)
上下バラバラでも買えますし、2つ一緒に買うとセット割で20ユーロで買えます。
CeLaVi というブランドのものを買っている保護者もいますが、機能はリドルと全く同じで値段はリドルの2倍くらいするので個人的にはやはりリドルのものをお勧めします。
雨が降ったり止んだり、とにかく天気が変わりやすいアイルランド。
たとえ雨上がりで園庭や遊具が濡れていてもレインギアを着て外で遊びます。
これで雨で濡れたすべり台を滑って、ズボンがびっしょり!なんてことも回避できます。
(洗濯物を増やさないで済みます!!)
以下は年齢ごとに分けてご紹介します。
赤ちゃん
哺乳瓶(ミルクは調乳したものを哺乳瓶に入れて持っていく。園では作ってくれません)
シッピーカップ(日本でいうマグマグです)
おむつ
おむつクリーム
おしりふき
スリープバッグまたはセルラーブランケット
コンフォーター(寝る時に手に持って寝るぬいぐるみ兼タオル)
おしゃぶり
おしゃぶり、コンフォーター、スリープバッグ、ブランケットについては別記事で触れているのでよろしければご覧ください。
3歳児以上(ECCEクラスの子のみ)
お弁当箱
水筒
バックパック(リュックサックの事は、バックパックと呼びます)
ECCEクラスでは給食が出ないので、
サンドイッチやクラッカーなどの軽食の入った弁当箱を毎日持参します。
日本のお弁当に比べると本当に質素です。
下の写真はフリー素材のサイトからイメージしやすいように引っ張ってきたものです。
“ヘルシーなもの”ということで大体の園でチョコレートは禁止されていると思います。
また、ナッツ類が入っていないように細心の注意を払う必要があります。
サンドイッチとともにヨーグルトを持ってくる子もいますし、チーズやオーツバーを持ってくる子、人参スティックやキュウリ、パプリカなどの生野菜をフムスと共に持ってくる子など様々です。
ぶどうは誤飲防止のため縦方向に4等分してのどに詰まらせないように持たせる必要があります。
入園後の慣らし保育期間はあるの?
あります。
Settling in periodセットリング ・イン ・ピリオドもしくは
Introductionイントロダクションと呼ばれ、大体5日間くらいです。
もちろん子どもの慣れ具合によって長引く場合もありますが、大体はこんな感じです。
月曜から金曜までの5日間の予定が組まれます。
初日は1時間、
2日目は2時間、
3日目はお昼を食べて帰る
4日目に昼寝をして帰る
5日目は1日保育。
2週目からは、よっぽどのことがない限りは時短保育はしません。
本格的な1日保育が始まります。
開園時刻から閉園時刻まで問題なく預けることができます。
まとめ
今回の記事ではアイルランドの入園・進級事情についてまとめてみました。
アイルランドの入園進級は日本に比べると本当にあっさりしています。
式もなければ特別に準備するものもほとんどなく、なんとな~く新学期が始まります。
私自身が日本で働いていた時のことを思い出してみると、
日本では、3月の卒園式が終わると同時に、すぐに4月の入園式に向けての準備が始まるので、卒園児を送り出した感動の余韻に浸る間もなく、怒とうの新学期準備に追われていました。
でも、ここアイルランドでは、卒園した後に2か月の夏休みが挟まれるので、先生たちも余裕をもって新学期準備に取りかかれます。
その点ではとても良いのではないかと思います。
でも、個人的には、入園式を行うことで《さあ、1年が始まるぞ!》と、しっかり区切りをつける日本式がとても好きです。
この記事でたびたび登場するECCEについては次の記事でもっと詳しく書きたいと思っています。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
ご質問などございましたらコメント欄にお書きいただくか、メッセージを送っていただけたら私のわかる範囲でお答えさせていただきます!