日本では、2019年10月から3歳~5歳を対象に幼児教育・保育の無償化が始まりましたが、ここアイルランドではどうでしょうか?
アイルランドには、3歳以上の子ども全員対象で、週5日まいにち3時間の無料保育が受けられるECCEクラスというものが存在します。
今回の記事では、ECCEについて大解説したいと思います。
ECCEって何?
なんて読むの?
どんな保育内容?
1日保育の子どもたちと習う内容の違いはあるの?
タイムスケジュールは?
お昼ごはんはどうするの?
持ち物は?
そんな疑問が一気に解決しちゃいます!
この記事がアイルランドで保育士になりたいと思っている方、海外の保育に興味のある方、アイルランドで子育て中もしくは予定のある方などのお役に少しでもたてたら嬉しいです!
ECCE って何?
The Early Childhood Care and Education の略称です。
頭文字を取ってECCEと呼びます。
どうやって読むの?
『イーシーシーイー』 または 『エキ』 と読みます。
どちらでも通じます。
私はずっと「イーシーシーイー」と呼んでいますが、
ここ最近は「エキ」と呼ぶ派の人が増えてきた印象です。
対象年齢は?
3歳以上です。
正確には9月1日の前に2歳8か月になっていることが必須条件で、
プリスクール、モンテッソーリ、クレッシュ、プレイグループに通う子全員が対象です。
1年で38週間、週5日、毎日3時間の保育が無料で受けられるシステムです。
すべての子がECCEに2年間通える権利があります。(小学校に通うまでです)
時間帯は?朝?それとも午後?
大体は午前中の3時間(9時から12時あたり)でECCE クラスが設定されている園がほとんどですが、
たまに午後の3時間で設定している園もあります。
開始時間は、園の方針により多少前後します。
それにしても、3時間は本当に短いです。(笑)
3時間以上の保育を希望する人は、追加料金を支払って保育時間を延長する形です。
パートタイムで働いている人など、お迎えに間に合わないなどの理由で
延長保育として2時間くらい課金して預ける保護者もよくいます。
年間予定は?
9月に新学期がスタートし、1年で計38週間登園します。
ECCEクラスがお休みになる時期と期間は小・中学校の年間予定に準じています。
休みの期間の事を『Mid-term breakミッドターム・ブレイク』と呼びます。
「中間休み」という意味です。
普段の会話の中では「ミッドターム」だけで済ませることが多いです。
ハロウィン、クリスマス、イースターの時期など、たびたび1週間ほどのミッドタームが挟まれます。
そして夏休みはなんと2か月もあります。
国民の祝日バンクホリデーももちろんお休みなので、1年のうち子どもたちが実質クレッシュに通うのは9か月間ほどです。
ECCEクラスの子たち(とアフタースクールに通う小学生)を見ていると、
ついこの前休みだったのに、あれ?また休み?!
と驚くことが多々あります(笑)
母体の機関はどこ?
The Department of children ,Equality,Disability,Integration and Youth (DCEDIY)
です。
日本で取得した保育士資格をアイルランドのものに相互認定してもらう際にもお世話になる団体です。
保育士資格の相互認定の申請方法については、また後日改めて記事にしたいと思っています。
園はどのように選ぶの?
アイルランド各地にあるクレッシュ、プリスクール、モンテッソーリ、プレイグループの
ほとんどの保育施設でECCEの子どもたちを受け入れています。
自分が住んでいる地域の近くにある保育施設に自分で直接問い合わせて、ECCEクラスに空きがあるか確かめます。
大体の園ではWaiting list (ウェイティング・リスト)と呼ばれる待機者リストがあります。
ダブリンシティ周辺は、どこの園も大量の待機児がいます。
(ダブリン以外の様子はちょっとわかりません、、、申し訳ありません)
とにかく早め早めに園に連絡を取って、待機者リストに加えてもらいましょう!!
ちなみに私の働くクレッシュでは、2023年現時点で2027年9月まで
(なんと4年後!!!!)ECCEの待機者リストは埋まっています!
つまり、皆さん赤ちゃんが生まれたらすぐに(もしくは妊娠中から)待機者リストに名前を載せてる、ということです。
これからアイルランドで子育てをされる予定のある皆さん、
特にダブリンに住むご予定の方は
妊娠安定期に入ったら、
または赤ちゃんが生まれたら、
もしくは引っ越して住む場所が決まったら、
とりあえず近所の保育施設をリストアップして、各園の待機者リストにお子さんの名前を片っぱしから載せておくことを強くお勧めします!
0歳から1日保育を希望する方は、妊娠がわかったらすぐにクレッシュ探しをすることを強くお勧めします。とにかく早すぎることはありません。待機児問題が本当に深刻なのです。
だいたい1年から2年待ちです。
自身の子どもを生後6か月からクレッシュに入れようと妊娠4か月の時に連絡したところ、すでに定員がいっぱいで、入所できるまで余分に5か月間待たなければなりませんでした。
(出産予定日と赤ちゃんが何か月になったら入所させたいのかを聞かれます。その後デポジットと呼ばれる一時預かり金を請求されます。直前で入園をドタキャンされないようにするためです。)
長い長い待機者リストはあっても、引っ越しや家庭の事情などで年度途中で退園する子もいますし、とりあえずどこの園にも名前を載せていたけれども9月直前で入園辞退する人もいるので、どこの園も一杯だと絶望せずに、とにかくリストに名前を載せましょう!
保育士の配置基準は?
通常、1日保育ですと
2~3歳 保育士1人 子ども6人
3~6歳 保育士1人 子ども8人
の職員配置になりますが、
ECCEクラスのように、1日3時間30分以下の保育時間のクラスは、
保育士1人に対して11人の子どもを見ることができます。
個人経営のクレッシュなど、教室の大きさが基準に満たない場合は11人まで受け入れない園もありますし、逆に大きな園では11人受け入れて補助のスタッフを加えたりもしています。
また、特別な支援が必要な子どものために加配保育士がつくこともよくあります。
1日保育の子はECCEの教育は受けられるの?
1日フルタイムでクレッシュに通う子ももちろんECCEの対象です。
フルタイムの保育料から
3時間×日数分を引かれた金額が保育料として請求される形になっています。
夏休みなどの長期休み期間には、ECCE対象外になってしまうので保育料を全額支払う必要があります。
どんな保育内容?
週替わりで設定されたテーマに沿って保育が行われます。
テーマは季節ならではのもの、子どもたちの興味に合わせたものなどです。
主活動の時間に、テーマに沿った工作、歌、ゲーム、実験あそびなどを行います。
テーマに合わせたセンサリープレイも用意することがほとんどです。
日本の保育でも主活動に入る前に絵本などを使っての《導入》が行われますが、
こちらアイルランドでは《サークルタイム》という形で、先生と子どもたちが丸くなって座ってそのテーマについて知っていることを思い思いに話し合います。
絵本を使ったり、写真教材を使ったり、先生によってやり方は様々ですが、結構高度なことを3歳4歳相手に話します。
火山の話、冬眠・越冬する動物について、宇宙の話などなど、、、、
私は今でこそ慣れてしまいましたが、働き始めたころは、こんな難しいことを子どもに話すんだ!と本当に驚いていました。
毎日そのテーマについて話し合ったり、工作などを通すことで、
3歳4歳でもちゃんと子どもたちなりに理解していきます。
私の働く園では、毎週金曜日のサークルタイムの時間には、
show and tell (ショウ・アンド・テル)《見せて伝える》
の時間が設けられていて、子どもたち一人ひとりがみんなの前でその週に学んだことなどを自分で描いた絵や工作、または家にある絵本などを持ち寄って発表しあいます。
テーマは毎週変わることがほとんどですが、子どもたちの様子を見ながら、興味を強く引いたものなどは期間を延ばして2週連続で取り組むこともあります。
主活動のテーマの例は?
新学期が9月から始まるので、秋っぽいテーマから順に挙げていきます。
秋のテーマ(まつぼっくり、どんぐり、コンカーズ、りんご、紅葉した葉っぱ、ハリネズミ、リス、ふくろうなど)
ハロウィン(かぼちゃ、モンスター、おばけなど)
クリスマス(サンタ、ツリーなど)
冬のテーマ(冬眠する動物、越冬する鳥、北極、南極、ペンギン、白くま、雪だるま、雪の結晶)
乗り物(飛行機、電車、バス、救急車、消防車、自転車、工事現場のブルドーザなど)
お仕事(警察官、消防士、医者、獣医、シェフ、先生、郵便屋さん、美容師など)
宇宙(ロケット、星、月、宇宙飛行士、惑星など)
虫(ちょうちょう、くも、テントウムシ、ミミズ、ありなど)
動物(ジャングルに住む動物、農場にいる動物)
恐竜(肉食、草食)
体に良いたべものと体に悪いもの(野菜、フルーツ、甘いお菓子など)
世界各国(国旗、肌や髪、目の色の違い、文化の違い、言葉の違いなど)
ちょうちょうの一生(卵から幼虫、さなぎ、蝶になるまで)
カエルの一生(卵からおたまじゃくし、カエルになるまで)
花の各部位名称(根っこ、茎、葉っぱ、花びら、花粉など)
セントパトリックスデー(虹、シャムロック、レプラコーン、アイリッシュダンスなど)
そのほかにも、父の日、母の日、バレンタイン、ワールドブックデーなどの
イベントも挟まってきます。
1日保育の子たちと比べて習う内容に違いはあるの?
ありません!
もちろん、担当の保育士によって得意不得意が皆あるので、工作やゲームなど多少の違いはありますが、主活動やサークルタイムで経験することはみんな同じです。
タイムスケジュールは?
ざっくりいうと、
9:00 登園
自由遊び
10:00 サークルタイム、主活動
外遊び
11:30 スナックタイム
絵本
12:00 降園
こんな感じです。
排泄の時間が組み込まれていませんが、書き忘れではありません!
日本のように、みんなでトイレに行く排泄の時間は特に設けられていません。
トイレに行きたい子は、保育士に声をかけて順次トイレに行きます。
お昼ごはんはどうするの?
給食は出ません!
各自でランチボックスを持っていきます。
サンドイッチ、クラッカー、チーズ、野菜スティック、ヨーグルトなどが一般的です。
日本のお弁当に比べると本当にあっさりしていますが、食べる時間も短く設定されているので、パクパクっと食べて終了です。食べきれなくて(苦手なたべもので)残す子も結構いますが、子どもがいらないと言ったらあっさり終わりにさせて無理強いをすることは決してありません。
持ち物は?
ランチボックスと水筒、着替え一式
です。
まとめ
今回の記事では、以前からもたびたびブログに登場していたECCEについてまとめました。
保育料がとても高いアイルランドなので、3時間保育が無料になるのはありがたいですが、親目線で、欲を言えばもうちょっと時間を延長してもらえるとありがたいです(笑)
もしくは、いつかは日本のように完全無償化になってもらえると嬉しいのですが、、、
説明が長くなってしまい、わかりにくいこともあるかもしれません。
ご質問などございましたら、どうぞお気軽にコメントかメッセージを送ってください。
私のわかる範囲でお答えさせていただきます。
いつもブログをお読みくださっている皆さん、メッセージを送ってくださる皆さん本当にありがとうございます!
なるべくブログをこまめに更新できるように頑張りますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。