アイルランドの保育園はCrècheクレッシュと呼ばれます。
朝から夕方までフルタイムでクレッシュに通う子どもたちには、毎日お昼寝の時間があります。
日本では、保育園に通うほとんどの子どもたちが週5日フルタイムで登園しますが、
こちらアイルランドでは、パートタイム登園という選択もあり、保護者の仕事の関係で
週3日だったり週4日だったり、また、午前中だけ週5日登園する子もいたりして、とてもフレキシブルです。
午前中だけ登園の子どもたちは、お昼寝をしないで帰ります。
今回は、アイルランドのクレッシュのお昼寝タイムについて、現地保育士の私が日本の保育園との違いも含めてすべて解説します!!
この記事を読めば
「お昼寝」は英語でなんていうの?
アイルランドでは何歳まで保育園でお昼寝するの?
何時間くらい寝るの?
どんなベッドで寝るの?
アイルランドと日本 子どもの寝かしつけ方の違いは?
安全対策は?
お昼寝中の保育士の仕事は?
全員が寝る必要がないってホント?
こんな疑問が一気に解決します。
これからアイルランドで保育士として働きたい方や、海外での保育に興味のある方、
アイルランドで子育て中の方などのお役に少しでも立てたらうれしいです。
「お昼寝」は英語でなんていうの?
お昼寝の時間は英語でNap time (ナップタイム)です。
Take a nap でお昼寝をする という意味です。
お昼寝に使う物の名前の英語
アイルランドのクレッシュで、お昼寝時に使う物の英語での名前をまとめました。
名前 | 読み方 | 説明 |
Cot | コット | 日本でいう 「ベビーベッド」の事です。 アイルランドではCotと呼びます。 クレッシュでは 2歳未満の子どもは必ずCotで寝ます。 |
Blanket | ブランケット | ひざ掛けにもよく使われる 薄手の毛布のことです。 フリース素材、 綿100%、 毛糸の手編みなど素材は様々。 ちなみに、厚手の掛布団はDuvet(デュベ)と呼びますが、 クレッシュで使うことは まずありません。 |
Cellular Blanket | セルラー・ブランケット | 綿100%のとても柔らかく 通気性のいいブランケット。 アイルランドでは 新生児のマストアイテムです。 メッシュ状で小さな穴がたくさん開いています 赤ちゃんが寝ているときに ブランケットが誤って 顔を覆ってしまっても、 窒息の心配が減ります。 Cellularは「細胞状の」 という意味です。 |
Sleep bag | スリープ・バッグ | 着るタイプのブランケットです。 首と両腕は洋服を着るように出し、 足は袋の中に入れます。 日本では「スリーパー」 という名前です。 ブランケットを剝いでしまう 赤ちゃんにピッタリです。 ちなみに、キャンプの時の寝袋は sleeping bag と呼ばれますが、 赤ちゃん用はsleep bag です。 |
Comforter | コンフォーター | 肌触りの良い、 小さなブランケットがついた ぬいぐるみです。 アイルランドでは、出産祝いなど でもよく贈られます。 寝る時に 手に持って寝ると安心します。 スヌーピーの仲間の 一人の少年が持ってる毛布の イメージで、子どもたちが寝る時 の友です。 |
Teddy | テディ | 子どもたちのお気に入りのぬいぐるみをテディと呼びます。 テディ・ベアから来ているもの と思われます。 くまだけとは限らず、 どんな種類の動物でもテディです。 ペンギンだろうが犬だろうが ひつじだろうが テディです。 はじめは本当に 戸惑いました。(笑) |
Muslin cloth | ムスリン・クロス | ガーゼの布です。 comforterのように手に持って寝る子もいます。 |
Soother | スーダー | おしゃぶりの事です。 おしゃぶりについては別記事でまとめてあります |
すぐに使える!!Nap time の言葉かけ例
言葉かけの例 | 読み方 | 意味 |
Night night | ナイ・ナイ | おやすみ |
Sleep well | スリープ・ウェル | よく寝てね |
Go to sleep | ゴー・トゥ・スリープ | 寝て |
Lie down on your back/tummy/side | ライ・ダウン・オン・ユア・バック/タミー/サイド | 仰向けで/うつぶせで/ 横向きに寝転がって (となり同士でふざけあっ ている時など、子どもの向きを変えさせたい時に言います) |
Close your eyes | クローズ・ユア・アイズ | 目を閉じて |
No talking | ノー・トーキング | おしゃべりしないで |
No messing in the bed | ノー・メッスィング・イン・ザ・ベッド | ベッドの中でおふざけしないで |
Put your legs down | プット・ユア・レッグズ・ダウン | 足をさげて (寝転がって足を バタバタさせてる子に声かけます) |
Are you going to have a big sleep? | アー・ユー・ゴーイング・トゥ・ハブ・ア・ビッグ・スリープ? | たくさん 寝られるかな? |
Wakey-wakey sleepy head | ウェイキー・ウェイキー・スリーピー・ヘッド | お寝坊さん、 おきて・おきて! |
Did you sleep well? | ディッ・ジュー・スリープ・ウェル? | よく寝た? |
You had a great sleep | ユー・ハドゥ・ア・グレート・スリープ | たくさん寝られたね! |
アイルランドでは何歳までお昼寝するの?
日本の保育園では5歳までお昼寝をする園がほとんどですが、アイルランドのクレッシュでは3歳前後までがほとんどです。私の職場の子どもたちも、モンテッソーリのクラスに進級するときにお昼寝時間が無くなります。
何時間くらい寝るの
クレッシュでは2時間20分くらい昼寝の時間が設けられています。
昼食を食べ終わった後の11時40分くらいから午後2時までです。
個人差があり、時間いっぱい寝られる子、なかなか寝付けない子、途中で目覚めてしまう子など様々ですが、大体平均して1時間30分くらい寝る子が多いです
どんなベッドで寝るの?
年齢によってベッドの種類が変わります
- 柵付きのベビーベッド (英語ではcot コットと呼びます。)
- セルラーブランケットもしくはスリーピングバッグ
- 積み重ねできる簡易ベッドかマットレス
- ブランケット
私の職場のクレッシュでは、2歳以上は積み重ねできる簡易ベッドを使っています。
日本では「お昼寝コット」と呼ばれているようです。アイルランドではstackable bed (スタッカブル・ベッド)と呼びます。
メッシュ状で通気性がよく、拭き掃除がしやすく衛生的です。
ベッドの上に専用のシーツをかけて使います。
シーツは寝ぶくろ状になっていて、上下の四隅に輪になったゴムがついています。
そのゴムを、ベッドの足にひっかけて付けて、子どもたちは袋状のシーツの中にすっぽり入って寝ます。
みのむしのようなイメージです(笑)
ブランケットをかける必要がなく、ベッドから転がり落ちる心配もなく、安全です。
各ベッドに名前シールをつけ、一人ひとり専用のベッドがあります。
私の職場では、シーツは週に一回園でまとめて洗濯します。
(おもらしや鼻血、鼻水、よだれなどで汚れているときはその都度洗います)
ちなみに、娘の通うクレッシュではマットレスを使っています。セルラーブランケットは家から持参です。
毎週金曜に持ち帰って洗濯し月曜にクレッシュに持っていきます。
日本では、毎週金曜日になると保護者がお昼寝用の布団一式を両手で抱えて大変そうに帰宅する姿があちらこちらで見られましたが、ベッドを使うアイルランドでは、手ぶら、もしくはブランケットのみ持参が主流なので、保護者の負担は本当に少ないです。
アイルランドと日本子どもの寝かしつけ方の違い
日本の保育園で働いていた時、昼寝の時間になると子どもの背中をトントンして寝かしつけるのが当たり前でした。両手を使って左右2人の子どもを同時にトントンは当たり前、最大で4人トントンしていたこともあったなぁと懐かしくなります。
クラスの保育士総出でトントントントン寝かしつけをしていました。
「せんせいトントンして」とお願いする子もたくさんいました。
アイルランドでは、必要に応じてそばにいて安心させることはしますが、日本のようにトントンを保育士から積極的に行うことはありません。
ふざけている子などには、そばに座って声かけをし、手を添える程度です。
理由は1つ
子どもが小さいうちから一人で寝るトレーニングがされていて、そもそも保育士の助けが必要ないからです。
(保育園に、おしゃぶりやお気に入りの人形の持ち込みが可能なので、それを使って自分で眠りに付ける子が多いです。)
アイルランドで働き始めた当初、日本との寝かしつけ方の違いに本当に驚きました。
ぬいぐるみは何の動物でもteddy テディと呼びます。
はじめは、テディ=くまのイメージだったので
ウサギでもペンギンでもテディ呼びすることに戸惑いました。
安全対策は?
- 保育室の室温16℃から20℃に保つ(保育室に室温計常備)
- 子どものベッドの間隔を十分に空ける
- よだれかけを取る(英語でよだれかけはBibビブと呼びます)
- おしゃぶりのクリップのひもは外す
- 髪の毛のゴム、髪留めクリップなどはすべて取る
- ネックレスなどついていないか確認(こちらでは歯の生えはじめの頃にアンバーネックレスと呼ばれる琥珀のネックレスを子どもに付ける保護者もいます。)
- フード付きのパーカーは脱がせる。
- 暖房器具(レディエーター)のそばからベッドを離す。
- 子どもの顔の上にシーツなど何もかかっていないようにする。
- Cotに赤ちゃんを寝かせる時は、赤ちゃんを仰向けに寝かせ、足側の柵に赤ちゃんの足を付け赤ちゃんがそれ以上、下に行けないようにする。(寝ている間にズリズリ下に下がって知らないうちにブランケットで口や鼻がふさがれるのを防ぐため)
- 保育士は必ず部屋にいて子どもの様子を常に確認する。
- Cot room と呼ばれるベビーベッドのみの部屋などにモニターを設置することも可能ですが、必ず10分毎には部屋に入って自分の目で確認する必要があります。
- 「お昼寝中の安全チェックリスト」の記入【アプリまたは書類】
Sleeping log 「お昼寝中の安全チェックリスト」の記入内容
乳幼児突然死症候群SIDS(sudden infant death syndrome)を防ぐため、寝ている子どもたちの体勢、呼吸の様子、顔色を10分ごとに目で確認し、sleeping logと呼ばれる書類に記入、名前をサインをします。
(私の職場では現在はアプリを取り入れているので、アプリに入力します。 以前は紙の書類でした。)
Position 体勢 | Breathing 呼吸 | Colour 顔色 |
left 左 | normal 通常 | normal 通常 |
right 右 | slow おそい | red 火照っている |
back 仰向け | fast はやい | pink 少し赤い |
tummy うつぶせ | heavy 息苦しい | pale 青ざめている |
お昼寝中の保育士の仕事は?
子どもの昼寝時間中に、保育士は交代で一時間ごとのお昼休憩を取ります。
大体の子どもが寝て、部屋が落ち着いたら休憩に出ます。
たまに子どもたちがなかなか寝なくて困ることもあります。(笑)
アイルランドでは、日本の保育園のようにお昼ご飯を子どもたちと一緒に食べません。
休憩時間に各自好きなものを食べます。弁当を持ってくる人もいれば、サンドイッチを買いに行く人、カフェに食べに行く人、自宅に帰る人、公園でのんびりする人など様々です。
1時間は必ず保障され、休憩時間に何をしようと誰にも何も言われません。
アイルランドで働くいいところの1つです。
保育室に残った保育士は、
- 寝ている子どもたちのチェック
- 製作物の準備
- 書類の記入
- アプリで保護者とのメッセージのやり取り、写真の送信
を行います。
全員が寝る必要がないってホント?
本当です。
アイルランドでは、保護者の希望で、子どもを30分だけ寝かせて起こし、お昼寝時間を短縮したり、またはお昼寝を全くさせない、という選択肢もあります
ただし、これはコロナウィルスが流行する前の話で、私の職場では現在は一時中止です。
一時中止の理由は、3点
- アイルランドのクレッシュでは現在、感染拡大防止の為に他クラスとの合同保育が認められていない。(play pod systemプレイポッドシステムと呼ばれます。)
- チームを組んでいる保育士と交代で休憩を取る必要があり、他に誰もカバーできる保育士がいない。(クラスを混合できないので。)
- 昼寝をしない子だけが過ごす部屋を確保することが難しい。
あくまでもこれは私の職場の状況です。
もっと大きな規模の園など、スタッフや部屋に余裕のある園によってはコロナ渦でも可能な所もあるのかもしれません。
昼寝をしない子、または起きてしまった子は、別室で他の保育士と静かにできる遊びをしたり(読書、お絵かき、パズルなど)、他のクラスの子どもたちの部屋で一緒に遊んだり、外遊びをしたりします。
お昼寝の時間は、保育士が交代でお昼休憩をとる時間なので、チームを組んでいる保育士は基本的には子どもを見ません。
1人の保育士が保育可能な人数を超えないようにだけは十分注意したうえで、他クラスに連れていきます。
アイルランドの保育士配置基準
保育士1人に対して何人の子どもが見れるかの比率の事をRatiosレーシオズと言います。
人数を超えてしまうことをOver ratios オーバー レーシオズと呼びます。
Ratios はアイルランドで保育士として働くうえで常に頭に叩き込んでおく必要があります。
各年齢ごとに自分がいったい何人まで保育できるのかを覚えておき、いつ誰に聞かれてもすぐに答えられるようにしておきましょう!(抜き打ちで監査が入ることがあります)
0-1歳児 保育士1人:子ども3人
1-2歳児 保育士1人:子ども5人
2-3歳児 保育士1人:子ども6人
3-6歳児 保育士1人:子ども8人
また、お子さんをアイルランドでクレッシュに預けたいと考えている方も、預けようとしているクレッシュが over ratios していないか、預かれる子どもの人数定員をオーバーしていないか見学の際に確認することは本当に大切です!
まとめ
今回は、アイルランドの保育園のお昼寝タイムについて日本の保育園と比較しながらまとめてみました。
- 昼寝タイムは英語でNap time という
- アイルランドでは大体3歳まで1時間30くらいクレッシュで昼寝をする
- 年齢によってベッドの種類が違う。(ベビーベッドか積み重ねできる簡易ベッド)
- 日本とアイルランドの寝かしつけ方は大きく違う(保育士のトントンで寝るか、おしゃぶりなどを使って子どもが自分の力で寝るか)
- 安全対策には最新の注意を払っており、10分ごとにチェックし、書類に記入する。
- アイルランドでは、全員が寝る必要がない!静かにできる遊びをしたり、他のクラスの子と一緒に遊んだりして過ごす。(ただし、コロナ渦の現在は一時中止)
アイルランドの保育に興味のある方など、ご質問などありましたらお気軽にメッセージもしくはお問合せフォームよりお問い合わせください。
私のわかる範囲でお答えさせていただきます!
今回もお読みくださりありがとうございました。