アイルランドのクレッシュ(保育園)で働くにあたって必要不可欠な仕事の1つが子どものおむつ交換です。3歳近くまでおむつをしている子が多いアイルランドでは、モンテッソーリのクラス担任にならない限り、おむつ交換は避けられません。
今回は、知っていて損はないアイルランドの保育園でのおむつ交換の様子について日本の保育園との違いを交えながら書いていきます。
アイルランドで「おむつ」は英語でなんていうの?
おむつ替えの時の子どもへの英語での声かけは?
アイルランドの保育園ではどんなふうにおむつ交換が行われるの?
そんな疑問に現地保育士である私がお答えします。
海外での保育に興味のある方や、アイルランドで保育士になりたいと思っている方などのお役に立てたら嬉しいです。
アイルランドで「おむつ」はなんていうの?
イギリス英語を使うアイルランドで「おむつ」は
Nappy(ナッピー)
と呼ばれています。
複数形で言う時は
Nappies(ナッピーズ)
です。
パンツタイプのおむつはpull ups(プルアップズ)
と呼びます。
アメリカ英語では?その他の英語圏では?
アメリカではDiaper(ダイパー)と呼ばれますが、アイルランドではまず聞きません。
その他の英語圏の国では
イギリス英語を使う国かアメリカ英語を使う国かで言い方は分かれるようです。
Nappy | Diaper |
イギリス | アメリカ |
オーストラリア | カナダ |
ニュージーランド | フィリピン |
アイルランドの保育園でよく使われるおむつ交換に関する英単語
Disposable nappy(ディスポーザブル・ナッピー) | 使い捨て紙おむつ |
Pull ups(プル・アップズ) | 使い捨て紙パンツ |
Cloth nappy/(クロス・ナッピー) Reusable nappy(リユーサブル・ナッピー) | 布おむつ 洗って繰り返し使えるおむつです |
Nappy liners(ナッピー・ライナーズ) | 布おむつに乗せて使う、うんちをキャッチする不織布シート |
Wipes(ワイプス) | おしりふき |
Cotton wool(コットン・ウール) | 綿球。おしりがひどくかぶれておしりふきが 使えないときに代わりに水に浸して使います |
Nappy cream(ナッピー・クリーム) | おむつかぶれ用クリーム |
Nappy bag(ナッピー・バッグ) | おむつ用消臭袋 |
Nappy bin(ナッピー・ビン) | おむつ用ゴミ箱 bin がゴミ箱という意味です |
Globes(グローブス) | ビニール手袋 |
Changing mat(チェンジング・マット) | おむつ交換用マット |
Changing table(チェンジング・テーブル) | おむつ交換用テーブル |
おしりの状態、おむつの状態を表す英語
保護者に子どものおむつの状態を伝えるのも大切なことの1つです。
以下、排せつに関する言葉がたくさん出てきます。不快な方は読み飛ばしてください。
Nappy rash(ナッピー・ラッシュ) | おむつかぶれ 湿疹や赤いボツボツ |
Sore bum(ソア・ボム) | おしりが痛い 赤くただれて痛そうな時 |
Wee/wee wee (ウィー・ウィー) Pee/pee pee(ピー・ピー) | おしっこ 2回繰り返していうのは幼児語 |
Poo/poo poo(プー・プー) | うんち |
stool(ストゥール) | 大便 保護者に伝える時など、改まった言い方 |
Wet nappy(ウェット・ナッピー) | おしっこでぬれたおむつ |
Dirty nappy/(ダーティー・ナッピー) Soiled nappy(ソイルド・ナッピー) | うんちで汚れたおむつ Soiledは改まった言い方(汚れたという意味) |
Loose nappy(ルース・ナッピー) | ゆるいうんちで汚れたおむつ |
leaking(リーキング) | おむつから漏れている nappy was leaking と保護者に報告します |
Diarrhea(ダイアリア) | 下痢 |
constipation(コンスティペーション) | 便秘 |
ちなみに、私の職場では、便秘で悩んでいるの子どもの保護者に、ぬるま湯に溶かしたブラウンシュガーを飲ませてみてと勧めています。
初めて聞いたときはそんなものが効くのかと驚きました。
おむつ交換の時の声かけ例
Let’s change your nappy おむつ交換しよう
Will I change your bum? おしり変える?
Who has stinky bum? おしりがくさい子はだれ?
Did you poo? うんちした?
It’s all clean! 全部きれいになったよ!
日本でもそうですが、アイルランドでは、おむつ交換の時間は保育士が子どもと一対一で親密なコミュニケーションを取れるとても大切な時間とされています。
ただ汚れたおむつを交換するという事務的な作業だけでなく、優しく話しかけたり歌を歌ったりして子どもが安心できる雰囲気づくりをすることが大切です。
話す内容はなんでもOK。
子どもがその日に着ている洋服の絵柄について話してみたり、好きなキャラクターや食べ物の事を聞いてみたり、今日は誰と一緒に登園したか、など家族の事を質問してみたり、、、
とにかく、どんなに忙しくても無言でシーンとおむつ交換しないように私もいつも気を付けています。
アイルランドの保育園ではどんなふうにおむつ交換が行われるの?
アイルランドのクレッシュ(保育園)には、子ども用のトイレと併設しておむつ交換部屋があります。
おむつ交換部屋はChanging roomチェンジング・ルームと呼ばれます。
交換部屋にはおむつ交換台があり、台の上に乗せられた交換マットの上に子どもを寝転がらせて保育士は立ったままの姿勢で子どものおむつを交換します。
日本のショッピングセンターなどにあるおむつ交換台とほぼ同じです。
子どもを交換台の上に抱き上げる必要はありますが、立ったままの姿勢でおむつ交換ができるので姿勢的にはとても楽です。
ただし、子どもが3歳近くになってくると、それなりに体重も重くなるので、抱き上げる時には自分の腰を痛めないように気を付ける必要があります。
(娘を妊娠中の時は、園長からも勧められてマットを床に置いて子どもを持ち上げないようにしていました。)
重いものを持ち上げたりすることによっての健康被害を防ぎ、職員の安全な労働環境を配慮する義務が園長にはあります。
物の持ち上げ方の講座?そんなの必要?と正直はじめは驚きました。
でも、研修を受けて私はその大切さに気が付きました。
日本では保育士の職業病としてよく知られている腰痛。
腰痛を理由に残念ながら退職の道を選ぶ人も多いのではないでしょうか。
「腰、気を付けてね」と言われることはあっても、物の運び方を実技で教えてもらったことなんて今まで一度もなかったので、知ってるようで知らないことが意外とたくさんありました。
アイルランドの、雇い主と従業員どちらもが共通の知識として腰痛防止に努める義務があるということは素晴らしいことだと思います。
日本の保育園でのおむつ交換
日本の保育園でのおむつ交換は、保育室の片すみで床に交換用シートなどを敷いた上に子どもを寝転がらせて交換することが多いのではないかと思います。
私の働いていた保育園がそうでしたし、保育実習で行ったいくつかの公立保育園や日本に住む家族の子どもたちの通ういくつかの保育園でもそうでした。
アイルランドの保育園のように、1人1人順番におむつ交換専用の部屋に連れて行って汚れたおむつを交換するのはとてもいいことだと個人的には思います。
理由は、
- 子どものプライバシーが守られる
- 保育室でおむつ交換をしないので、においの面でも衛生的
- おむつが汚れた時にいつも決まった場所で交換することでトイレに行くことへの意識づけが小さなうちからできる。
からです。
ちなみに、
日本の保育園のトイレには子ども用の便器がいくつも並んで設置されていることが多く、排せつの時間にはクラスの子どもたちがみんな一斉にトイレに行って用を足すことが多いですが、
アイルランドの保育園では各クラスごとに使う便器は1つの事が多く、日本のようにクラス一斉にトイレに行くことはしません。
小さい子のクラスではトイレットトレーニング中の子も多いので、保育士が定期的に声かけをしてトイレに行くことを促すことがまだまだ多いですが、
モンテッソーリの大きい子のクラスになると、基本的にトイレに行くか行かないかは完全に子どもの意思に任せます。
(もちろん個人差もあるので、必要に応じては声かけをしてトイレに行くことを促すこともあります。)
トイレに行きたい子はその都度保育士に声をかけてから1人ずつ順番にトイレに行きます。
トイレの中に洗面器も併設されているので、子どもが用を足した後、手を洗ってトイレから出てきたら次の子がトイレに入るという感じです。
1人1人のプライバシーが小さいころから守られています。
保育士は必要に応じて手伝うこともありますが、基本的には遠くから見守るだけか声かけをするだけです。
おむつ交換回数
私の働いている職場では、おむつ交換の時間は午前一回と午後一回、計2回設けられています。
一日の交換回数は最低でも2回、交換回数が多い子で4回くらいです。
便が出た子はもちろんその都度交換します。
もしも交換したばかりだったらおむつ交換の時間には交換しません。
1歳以上の子どもは最高でも4時間ごとにはおむつを必ず交換する必要があるので、
便が出ておむつを交換したら時間を把握しておき、時間が来たら忘れずに交換するようにします。
(1歳未満の赤ちゃんは3時間ごとです)
今となっては遠い昔の記憶ですが、、、
日本の保育園で働いていた時は布のおむつを使っている保育園だったので、活動の前後には必ず交換。少しでも濡れていたら交換していたので確か1日に8回くらいは平均で交換していたように覚えています。
汚れたおむつは水洗いをして持ち返していたので、その点でも保育士の負担は多く、本当に大変でした。
(毎日洗濯して乾かして持ってくる保護者も本当に大変だったと思います。雨の日で乾かないときなんて特に!)
家族の子どもの通う保育所では、紙おむつを使っているそうですが平均して4~5回、多くて7回くらい交換するそうです。
やはり日本のほうが交換回数は多いようです。
おむつ交換方法
園によって少しずつ違うと思いますが、私の働く園では、、、
自分の担当する子どものおむつを交換します。
年齢によって担当できる人数が変わってきます。
0-1歳 3人
1-2歳 5人
2-3歳 6人
交換部屋に自分の担当する子どもたちを全員連れていきます。
(基本的には自分の担当する子どもたちのおむつを交換しますが、うんちが出ている子を見つけたら見つけた人が交換するなど、チームを組んでいる保育士と協力して臨機応変に対応します。)
交換部屋の横の廊下など目の届くところに全員座らせて、1人ずつ順番におむつを交換していきます。
待っている間の子どもたちに危険がないように細心の注意を払い、歌を歌ったりしながらできるだけ素早く交換していきます。
(隣同士でふざけあったりすることはしょっちゅうです。)
- 使い捨てのエプロンと手袋をつけて交換します。
- おしりふきシートで拭いた後、必要に応じておむつかぶれクリームを塗ります。
- おむつ用の消臭ごみ袋に入れてから専用のごみ箱に捨てます。
- 交換マットはその都度、除菌スプレーで拭き掃除をします。
おむつの種類は?紙?布?
大体の園では紙おむつを使っています。
布おむつも、保護者の希望で使うことができます。
日本では水洗いして持ち返してくれる園がほとんどですが、アイルランドではそのまま持ち返します。
便が出た時は、便をキャッチしてくれるおむつ用のライナーを付けているので、ライナーだけを捨てて布おむつを持ち返します。
テープタイプ?パンツタイプ?
私の職場では、おむつはテープタイプのものを使います。
理由は、
おむつ交換部屋は全クラス共通で使い、各クラス時間割が決められている。限られた時間の中で素早く交換するにはテープタイプが向いているため。
パンツタイプは靴やズボンを全部脱がせてはかせる必要があり、交換に時間と手間がかかりすぎるので、保育園には向いていないです。私の職場では使用を断っています。
アイルランドでは子どもたちは室内でも常に靴を履いているため、
おむつ交換の時にズボンは全部脱がせません。
靴は履かせたまま、ひざの下までズボンを下げて交換します。
おむつがずり落ちてくることを防ぐために、vest(ベスト)と呼ばれる股下にスナップボタンがついている下着をつけている子がほとんどなので、ベストの下の部分が便などで汚れないように確実にまくし上げる必要があります。(日本ではボディ肌着、ボディスーツなどと呼ばれているようです)
アイルランドの保育園ではテープタイプのおむつを推奨することが多い理由を知った時、私としては興味深かったのを覚えています。
日本の保育園で働いていた時は、床でズボンを全部脱がせておむつを交換することがほとんどだったので、パンツタイプでもなんの問題もなく、むしろ子どもが自分でパンツをはく練習ができるので経済的に余裕があればパンツのほうがいいと思っていました。(パンツタイプのほうが一枚当たりの金額が高い)
でも、室内でも靴を履く文化のアイルランドでは、靴をいちいち脱がせて大人の腰の高さのおむつ交換台から子どもをわざわざ床に降ろし、座らせてパンツタイプを履かせるには、おむつ交換に時間と手間がかかりすぎるのです。
とはいえ、これは保育園での話。
トイレットトレーニングを意識し始める年齢になってくるとお家ではパンツタイプを履いている子はたくさんいます。
登園時にパンツタイプを履いてくることはOKです。
でも、交換の際には紙パンツの両サイドを破って交換します。(脱がせることはしません。)
おむつ交換記録を取る
おむつ交換をした時間、おむつの状態(尿か便か)、おむつクリームを塗ったかどうか、をアプリを通じて記入し、保護者に伝えます。
まとめ
今回は、アイルランドのおむつ交換事情についてまとめました。
記事の中でアイルランドの保育園ではと書いていますが、便宜上そう書いているだけで、私の知る限りのことだけを書いています。
アイルランドでも園や地域によって少しづつ違うことをご了承ください。
おむつ交換に必要な物の名前やおむつの状態、などの英語はアイルランドで働き始めた当初、恥ずかしながら私は知らないことのほうが多かったです。
今回、私がこちらに来てから少しづつ学んだことを一覧にしたので、これからアイルランドの保育園で働きたいと考えている方や、海外での保育に興味のある人のお役に少しは立てるのではないかと思っております。
おむつ交換における日本との大きな違いは
おむつの交換場所がある事。
そして、使い捨てのエプロンとビニール手袋を惜しげもなく使うのも大きく違う点だと思います。
たくさんごみが出てしまう問題はありますが、衛生管理がしっかりとされていると思います。
日本の保育園で働いていた時は素手でおむつ交換をしていました。
こども一人ひとり交換するたびに石鹸でよく手を洗っていましたが、それが原因で手荒れもひどかったです。
一日のおむつ交換回数も日本に比べて少なめです。
そのため、おむつかぶれをおこす子どもも日本に比べてたくさんいるように感じますが、その代わりと言ってはなんですが一人一人がおむつかぶれ防止用のクリームを持参しています。保育園で結構な頻度でクリームを塗ります。
今回もお読みくださりありがとうございました。
ご質問などありましたらお気軽にメッセージを送ってください。
私のわかる範囲で出来るだけお答えさせていただきます。