日本の保育園で働いていた時と大きく違う、アイルランドの保育園流トイレットトレーニングの方法。
こちらで働き始めた頃は考え方の違いと方法の違いに私自身とても驚きました。
今回はアイルランドの保育園でのおむつの外し方について、日本の保育園との違いを交えながら書きます。
ちなみに私の娘は2歳1か月でトイレットトレーニング完了しました。
保育士として日本とアイルランドでたくさんの保護者達にアドバイスをしてきましたが、実際に親としてトレーニングをしてみると体感する難しさや新しい発見もたくさんありました。
そんな経験も含めてシェア出来たらいいなと思います。
今回の記事では、
アイルランドでは何歳からトイレットトレーニングをするの?
トレーニングにかける期間が2~3日ってほんと?
トレーニングの方法は?
そんな疑問がスッキリ解決します。
この記事が、アイルランドで保育士になりたい方や、海外での保育に興味のある方、アイルランドで子育て中の方などのお役に少しでも立てたら嬉しいです。
トイレットトレーニングは何歳から?
アイルランドでは、2歳から3歳のあいだにトイレットトレーニングをする人が多いです。
早くおむつをはずしてしまいたい派の、おむつ外しに積極的な保護者と、
できるだけ長い期間おむつをつけていたい派の、のんびりな保護者との二派に分かれることが多いです。
でも、平均すると2歳半を過ぎた頃にはトレーニングに取り組む人が多いです。
アイルランドでは、どこの保育園でも、3歳からのプリ・スクールやモンテッソーリクラスに上がる時には、おむつが完璧に外れて自分でトイレに行ける必要があります。
保育園側からは、遅くても3歳までにはトレーニングを済ませるように保護者に促します。
トレーニングを始めるサインは?
4つのサインのいずれかが子どもたちから見られるようになってきたら、保護者に伝えるようにしています。
- おむつにおしっこがでた(うんちが出た)ことを言葉で伝えられる
- トイレに座ることに興味を持ち始める
- 排せつの間隔が長時間空くようになった
- 昼寝後のおむつがぬれていない
トレーニングにかける期間が2~3日ってほんと?
答え
本当です!!
これには本当に驚きました。
トイレットトレーニングのブートキャンプと私は勝手に呼んでいます(笑)
強行突破です。
金曜日にはおむつを付けていた子も週末に家でトレーニングをはじめ、週明けにはパンツをはいて登園してきます。
パンツと言っても、防水処理のされた何層にもなっている分厚いトレーニングパンツではなくて、
いきなり本格的な薄っぺらいパンツなのです!!(驚き)
ちなみに、私の勤める保育園(クレッシュ)では、最低3日間は家でトレーニングをするようにお願いしています。(土日+月曜日)
理由は、2日間だとまだ感覚がつかみきれず、園でおもらしをしてしまう確率が高いためです。
あらかじめ3連休の休みや大型連休に合わせてトレーニングを計画する保護者もいますが、
そうでなければ保護者が有給などを使って1日トイレットトレーニングの為に休みを取ります。
(トイトレの為に休みを取るなんて日本に比べて比較的有給が取りやすいアイルランドならではだなぁと個人的には感心しています。)
大型連休には家族で旅行に行く予定があり、あえてそこを避ける保護者も多いのも確かです。
ホリデーは楽しむ為にあって、トイトレでストレスを溜めたくない!そうです。
(できるだけ長い期間おむつを付けておきたい派の保護者に多い意見です。なんだか性格が表れていますよね。)
初めは失敗(おもらし)ばかりしていた子がいつの間にか完璧になったり、 その逆で、初めは完璧だったのに慣れてきたころに失敗を繰り返すようになったり、、、
個人差は様々です。
トレーニングの方法は?
方法はいたってシンプル。
おむつをはずして、パンツをはかせ、15分おきごとにトイレに誘う。
これだけです。
失敗したら(おもらししてしまったら)さっと汚れた床の掃除をして新しいパンツに履き替えさせます。
延々とこれの繰り返しで、子どもも徐々に感覚がつかめてきます。
おしっこが成功する確率が増えてきたらトイレに誘う間隔を30分、45分、1時間と少しずつ伸ばしていきます。
子どもにはかわいそうですが、(そして、大人も掃除が大変ですが、、泣)
アイルランド流のトイレットトレーニングでは
床を漏らしてしまうという子どもたちにとって大変ショッキングな出来事が必要かつ大切なのです。
失敗を機に、「あ、次はトイレでしよう」という感覚を芽生えさせます。
(たまに、床が水たまりになるくらいのおしっこが出ても全く気にせず遊んでいる子もいます。そのような子は、残念ながらトレーニングにたくさん時間がかかります。。。)
ノ、ノーパン式トイレットトレーニング!?!?
中には、トレーニングの間はパンツとズボンをはかせないという育児法を実践する保護者もいます。(長めのTシャツもしくは女の子だったらワンピースのみで過ごさせます。)
週末にお家で下半身裸で過ごすのは各家庭の自由ですが、さすがに保育園ではおしり丸出しのわけにはいかないので、保育園ではズボンだけはいてきます。
英語ではNo pants potty training もしくはPants less potty training と呼ばれます。
ちなみにpotty ポッティは、おまるの事です。
今では『あ、この家庭もか』程度にしか考えなくなりましたが、この育児法を知らなかった当初は、子どもがトイレでズボンを下ろした際にパンツをはいていないことに衝撃を受け、心からうろたえたことを覚えています。
「この子パンツ履いてないんだけど!」
と、教室にいる同僚に慌てて報告したことを覚えています。
今となっては笑い話です。
パンツをはかせない理由は3つ
①おしっこが出そうになった時にサッとトイレに駆け込んで座れるように。
(ズボンとパンツを脱いで座らせる工程すら吹っ飛ばしたい)
②おしっこがジャーと出てしまう様子が目でも見えるのでパンツがないほうがより鮮明に感覚がつかみやすい。
(どうやら、パンツは素材こそ違えど、おむつのようにおしりに布が当たっているという事実は一緒だから子どもはおむつを履いていると錯覚するという考え方らしいです。)
③洗い物を減らすため
(初めのうちはとにかく失敗がつきもの。たくさんの洗濯物が増えてストレスをためたくないからだそうです。)
・・・だそうです。
賛否が分かれそうですよね。
私はこの方法は自分の娘には実践しませんでしたが、理由はご参考までに。
日本とアイルランド トイレットトレーニングの徹底比較
アイルランド | 日本 | |
開始年齢 | 2歳から3歳のあいだ | 1歳 |
かかる期間 | 2~3日(ただし完璧になるまでには数か月必要) | 2年弱 |
進めかた | 保護者が取り組むまで 保育園では全く進めない | 保育園と家庭が足並みをそろえて 一緒に始め、進めていく |
パンツの種類 | 薄いパンツ | 防水処理のされた何層にもなっている分厚いトレーニングパンツ |
昼寝中 | 紙おむつをパンツの下につける | パンツの上におむつカバーを付ける |
ざっと一覧にするとこんな感じです。
以下、さらに詳しく説明します。読み飛ばしていただいてもかまいません。
日本の保育園
これはあくまで、私の経験上の話ですが、、、
私が以前に勤めていた日本の保育園では
1歳ごろ
おまる導入
昼寝の後におむつがぬれていなかったらおまるに座らせる。(おむつがぬれていないのは、おしっこの間隔があいて膀胱にためられるようになった証拠)
寝起きの無意識の状況でおしっこが出るようになる。
毎日ひたすらそれの繰り返し。
2歳ごろ
一日何回もおまるでおしっことうんちが出るようになる。
昼寝後のおまるが成功する回数が増えてきたら、日中もおまるに座らせるようにする。
日中のおまるに座らせるタイミングは、活動の前後と、パンツがぬれていなかったら。
日中のおまるが成功する回数が増えてきたらおむつをやめてトレーニングパンツにする。
パンツは分厚いトレーニングパンツにさらに布おむつのさらしを1枚重ねてはかせ、
おむつに限りなく近い形からのスタートです。(園では【股ばさみパンツ】と呼んでいました。)
ひたすらそれの繰り返しで、排せつの間隔、量が少しずつコントロールできるようになってきます。
失敗が少なくなってきたら、さらしを取って、分厚いパンツのみにします。
昼寝中は、パンツの上におむつカバーを付けて対応していました。
3歳ごろ
トイレで排せつをする。
薄っぺらいパンツに移行。(保育園では“おねえちゃんパンツ““おにいちゃんパンツ”と呼びます)
もちろん進み具合に個人差はありますが、だいたいこんな感じでした。
日本では、保育園でおまるに座らせ始める年齢は小さいですが、とにかく時間をたくさんかけてひとつづつ丁寧に段階を踏みながら2年越しくらいで無理なくトイレットトレーニングを進めていきます。
家庭との連携がとても大事なので、保護者と常に情報を共有しながら
保育園がひとり歩きをしないようにトレーニングを進めていくことが大切なのは言うまでもありませんが、
とはいえ日本は、保育園が担うトイレットトレーニングの役割が本当に大きいです。
働く保護者の代わりとなって日中過ごす保育園で保育士がコツコツと欠かさずトレーニングを行っていきます。
保護者からもたまに、
「自分でトイレットトレーニングをした記憶がない。」
「保育園で先生たちにやってもらっていつの間にかおむつが外れていた」
と言われることがあったのを覚えています。
(週末に家庭で全く取り組んでいないお家は、週明けに園で子どものおもらしの確率が本当に高くなるので、保育士にはすぐにわかります。)
アイルランドの保育園
アイルランドでは、3歳ギリギリまでおむつを付け、子どもが言葉を話すようになったら短期間で一気にトレーニングを行います。
(もう一度言いますが、保護者によります。もっと早くトレーニングに取り組む人もいますが、少数派です。)
言葉が通じる分、言い聞かせて子どもをその気にさせて行うので、短期間で本当にトレーニングが終了してしまいます。
トレーニングを始めると決めてから完了するまでの期間が本当に短いので、その点では保護者にかかるストレスは少ないように感じます。
ただ、3歳近くまでおむつを使うので、おむつ代は高くつきます。
保育園側からは決してトレーニングを始めず、必ず保護者に始めてもらいます。
子どものトイレットトレーニングはあくまで親の責任。
『家でトレーニングが終了してから保育園で始める』という姿勢はとても固いです。
長い目で見て、ゆっくり無理なくトレーニングを進めていく日本と、短期間集中で一気にトレーニングをすませるアイルランド。どちらもそれぞれの良さと欠点がありますね。
保護者にするアドバイス
トレーニングを始める予定の週末をあらかじめよく計画する。
期間中は出かける予定、お客さんが来る予定は絶対に立てない。友達と遊ぶ予定もたてない。
なるべく公園やスーパーにも行かず、とにかく家にこもってトレーニングに集中する。
子どもが嫌がったり、あまりにも失敗が多いと親自身のストレスが溜まってしまいくじけそうになるが、一度おむつをはずしたら基本的にはおむつには戻さない。
十分な量のパンツとズボンを買っておく。(とにかく失敗はたくさんするので、足りなくなることがないようにパンツ、ズボンそれぞれ保育園用に10枚くらいはあるとよい)
用意する物
おまる(pottyポッティ)
トイレ補助便座(toddler toilet seatトドラートイレットシート)
トイレ用踏み台(step stoolステップスツール)
十分な量のパンツとズボン(10枚くらいあると安心。アイルランドは洗濯物が乾きにくいので、、、)
クロックスのサンダル
ごほうび用のステッカー(シールの事をステッカーと呼びます)
私の職場ではトレーニング中はクロックスサンダルを履かせることを勧めています。
理由
おもらしした時に靴もびしょぬれになってしまう。
基本的に天気の悪いアイルランドでは靴を洗って乾かすまでにとにかく時間がかかるため、サンダルならすぐに水洗いできる。
時期は?
夏が望ましいです。
理由は2つ。
夏は薄着なので、おもらしをしてもたくさんの洋服を脱ぐ必要がなく着替えやすい。
おもらしをして濡れても夏なら寒くない。
保護者からよくされる相談3点
Q.トイレに行きたいとなかなか自分から言わない
A.子どもからの発信には期待しないでください。
子どもからトイレに行きたいと自分で言えるようになるのはしばらくたってから。
トレーニングの初めのうちは
保護者なり保育士がひたすら時間を見て「トイレに行こう」と誘うことが大切。
トイレに行く時間の間隔が長くなってきたら
「トイレに行きたい?」と聞くように変えていき、子どもに考えさせるようにしていきます。
それでも、
遊びに夢中になっているときは「行きたくない」と大体言います(笑)
そんな時はその言葉を信じず(笑)、
「おしっこが出るか試してみよう。座るだけでいいよ、出なかったらすぐに遊びに戻ろう」と声を掛けます。
すると90%の確率でおしっこは出てきます。(笑)
出たらとにかく褒め、「試しにトイレに来ておいてよかったね」とさらっと伝えます。
Q. ずっと成功していたのに急に失敗が増えてきた
A.とてもよくあること。叱らず、ササっと掃除と着替えをさせて15分ごとに誘うことからまた始めていきます。
初めはトイレに行く新しい経験が嬉しくてやる気があるが、慣れてくると面倒くさくなってきてしまったり、遊びに夢中になって忘れてしまうことはしょっちゅう起こりうることです。
Q. トイレでおしっこはできるがうんちがなかなかできない
A.みんな時間がかかる。
便が出る感覚を嫌って排せつを怖がる子がほとんど。
うんちが出る前はその場で急に立ち止まったり、部屋の隅に行って隠れたり、おならが出るなど、大体サインを出していることが多いので、とにかくそれを見逃さず誘って座らせる。
文化の違い!?アイルランド流トイレットトレーニングの対応
衝撃!汚れたパンツは保育園で捨てられてしまう!!
アイルランドでは、うんちで汚れたパンツは園ではその場で捨てられる確率が本当に高いです。
日本人の私の感覚からは想像もつかなかったことで本当に驚きました。
こちらでは、汚れたものを下洗いして保護者に返すという概念は全くもってありません。
おしっこでぬれたパンツはそのまま袋に入れて持ち返されます。
うんちはべったりしたものだったら確実に捨てられます。
プリンセスやペパピッグ、パウパトロールなど、子どもたちのお気に入りのキャラクターのパンツをはかせて子どものやる気を上げたいと考える保護者は本当に多く、子どもも「今日は○○の絵のパンツだよ」と嬉しそうに報告してくれることが多いので、園で捨てなくてはいけない時は私は本当に心苦しいのですが、、、(洗えば使えるのに、、、と未だに思ってしまいます)
うんちのおもらしは避けても通れない道なので、高くてかわいいパンツを保育園に持たせることは初めのうちはアイルランドでは本当にお勧めしません。
(もちろん、お家ではどんどん履いてください!!)
衝撃②!!保育士は子どものおしりを拭く手伝いをしない!!
アイルランドでは、子どものプライバシーを尊重し自立させることを重点的に考えているので、
基本的に保育士は子どもの排せつ後のおしりは拭きません。
声かけによって子どもが自分一人できちんと出来るように導くのみです。
もちろん子どもなのでしっかり拭くことが難しく、パンツが汚れてしまうこともありますが、
そんな時も、助けが必要なら助けを求めなきゃ!と子どもに伝えるのみです。
日本人の私には、その点はどうしても受け入れがたく、子どもたちがきちんと拭けているかのチェックはすべきだと思うので、手伝ってしまうことも多々あります。
1人1人確かめることはできませんが、実際おしりをしっかり拭けている子どもは少ないのでないかな~と個人的には思っています。
まとめ
今回はアイルランドのトイレットトレーニング事情について日本と比較しながらまとめました。
アイルランドでは、
- 2歳半から遅くても3歳前までにはトレーニングを終了させる。(1人でトイレに行けないと3歳からのプリ・スクールまたはモンテッソーリクラスに上がれない)
- トレーニングを始めてから2~3日の短期間でトイレでおしっこをする感覚をつかむ。
- いきなり薄っぺらいパンツをはかせる。
- 保育園では15分から始めて30分、45分、1時間と徐々にトイレに誘う間隔を伸ばしていき、最終的には自分でトイレに行きたいと言わせるようにする。
- 汚れたパンツは高確率で捨てられてしまう。
- 保育士は子どものおしりを拭く手伝いをしない。
日本の保育園で働いていた時は、1歳児クラスと2歳児クラスでは1日中ほぼ誰かしらがおまるに座っていたり、トイレに行っているといっても過言ではありませんでした。
交代制ではあるものの、おまる、トイレ係になった保育士は一日子どもたちの排せつに付きっきりです。
それだけ熱心にトレーニングに取り組んでいるということなのですが、逆を言うと、おまるに縛られて多かれ少なかれ活動の範囲も狭まっているのも確かです。
それに比べて、アイルランドの保育園では子どもが家でトイレットトレーニングをしてくるまでは園ではおむつを替えるだけ、また、トイレにもクラスの子ども全員が一斉に行くわけではないので、主活動の時間がトイレットトレーニングによって少なくなることはありません。
トイレットトレーニングに関する保育士の負担とストレスは日本と比べると本当に少ないです。
私自身の子どものトイレットトレーニングを行った際は、
トイレでおしっこはできてもうんちがなかなか出来ず、時間と根気が必要でした。
シール作戦、絵本作戦、動画を見せる作戦などいろいろ試しましたが、どれもうまくいかず。
くじけそうになったりストレスが溜まってイライラしてしまうことは正直ありました。
結局私の娘に効いたのは、娘が大好きなプリンセスのパンツをあえてはかせ、失敗した時は、「くさいパンツじゃプリンセスがかわいそうだね」と、2歳児の情に訴える作戦でした。(笑)
保育園でお気に入りのパンツを捨てられてしまったのも娘にとってかなりショックだったようで、それ以降失敗はしなくなりました。
今回の記事がアイルランドで保育士になりたい方や、海外での保育に興味のある方、アイルランドで子育て中の方などのお役にすこしでも立てたら嬉しいです。
質問などありましたら気軽にメッセージを送ってください。私のわかる範囲で出来るだけ答えさせていただきます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。